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釣り人徒然草
B's Fly Works presents タイイングデスクで独り言 - ハックルにタックル その4 - 魅惑のダイドハックルを語る
2026.08.06
備前 貢
燃えあがれバーントオレンジ、の巻
初夏から真夏そして晩秋までのテレストリアル・シーズンに大オススメのダイドハックル、バーントオレンジ作例集。
たいへんお恥ずかしながら当方、北海道の片田舎に居をかまえてシーズン中は日々釣り浸りながら、爪に火を灯して糧を得る、職業タイヤーというケチな商売が本業です。たとえば夏の北海道の各河川でよく効くドライフライをおまかせで何十本巻いてくださいとか、この夏はじめて北海道に釣りに行くのですが初心者なので使いやすくて実績のあるドライフライを何万円分巻いてくださいなど、おまかせでご注文をいただくことが多々あります。
と、そんなご注文のラインナップにかならず入れるフライのひとつを、まず今回はご紹介です。最初は当惑されるけれど、イザつかっていただければ、皆さんごご満足いただけた旨の嬉しメールをいただき、そんな連絡を拝読しながらワタシはニンマリほくそ笑む。秘蔵の必殺夏ドライフライのひとつです。
上は、バーントオレンジのダイドハックルを効かせた万能型パラシュート、といっても巻き方じたいはとっても簡単。ごく普通のパラシュートとまったくおなじ。サイズは北海道各河川でつかうなら、この季節よく見かけるテレストリアルのサイズにあわせて6番くらいの特大サイズから8番〜10番前後が常用サイズ。なんだけど、たとえば初夏や秋のころ湖やダム湖なんかの止水域のユスリカやケバエなどにライズしているスレっからし用に16番〜18番の小型サイズもあると万全。
ようするに、テレストリアル全般の特徴や色調をなんとな〜く表現した、いつでもどこでもだいたい外さない万能型ドライフライでありながら、ときとしてこの橙色ハックルが絶大に効いちゃったりもする、というわけです。パイロットフライとして最高!
で、ここではサイズ11番のフックに黒っぽいヒグマのアンダーファーをダビングして、ポストにまずダイド・ブラックのハックルを厚めにハックリング。このダイド・ブラックのハックルのファイバーが、フックシャンクと比較してえらい短いことにご注目。
上が完成形。2枚目のハックルとしてダイド・バーントオレンジのグリズリーハックルをダイド・ブラックにミックスしながらハックリング。こちらのハックルは、先に巻いたダイド・ブラックのファイバーのほぼ倍の長さで、フックシャンクよりもやや長め。
これが最大のミソ。
このように長短のハックルファイバーをミックスしてハックリングすると、パラシュート・ハックルの中心部が黒っぽく、ハックルの先端部分に向けて橙色が強調されたグラデーション色調になります。これがねえ、なんとも陸生昆虫の脚や、羽ばたいているときの下翅を連想させる色合いに見える、という寸法です。実際に水辺を飛び交っていたり、流れに飲まれたハチみたいのとか甲虫類とか、種々雑多なテレストリアルを観察してみれば、かならずといっていいほど黒褐色な体色のなかに、橙色がかった部位や翅が見られるのが面白くて、そんな色調や雰囲気を誇張表現したフライというわけ。
もちろん、ダイド・ブラックのファイバーのほうを長くして、ダイド・バーントオレンジをハックル中心部に巻いたバージョンもおおいにアリ。このへんは好みや気分でぜんぜんオッケ。キモは長短ファイバーのハックルをミックスしているってところ。
これは一見ものすごいファンシーに映るド派手なオレンジ色を、いかにも虫の脚や翅を彷彿とさせるナチュラルな感じに見せるひと細工なんですが、高浮力・高視認性を優先させた厚巻きハックリングなパラシュート・スタイルのばあい特に空気抵抗の軽減による投げやすさ、フライがひっくり返って着水してしまうのを防ぐバランスなどなど、機能面のメリットもたくさんあります。
かのゲーリー・ラフォンテーンいわく、オレンジ色のハックルは、特に夕暮れ時の光量のときにこそ、各種昆虫の翅の透過性に肉薄するとして、それ専用のフライ、なづけてフレイム・スロウワーなるヴァリアント・タイプのドライフライを創作して、イブニング時に愛用されていたらしいですね。
が、不肖ワタクシはこのバーントオレンジのハックルを巻いたドライフライ各種を、テレストリアルを意識したフライとして夏から秋まで朝から夕まで、いつでもどこでもつかい倒しております。
たとえばコック・デ・レオン・サドルの超ロングファイバーをパラシュート・ハックリングしたスパイダー型パラシュートの中心で、まるで火の玉のように燃えているバーントオレンジ。
はたまた、レオンのサドルとバーントオレンジの組み合わせで巻いた、ラバーレッグ装着のマシュマロ・ビートル。これは実績度ぶっちぎりの大物キラーとして、もはや20年ちかく当社の大ベストセラーである稼ぎがしら。
そして、ダイド系ハックルの定番となるダイド・コーチマンブラウンとバーントオレンジの組み合わせで巻いたラフォンテーンのダブルウイングなんかも最高。とくにサイズ6番〜8番くらいの大型ドライフライとして、使い勝手も良くアピール度もバツグン。こんなダウンウイング系のフライとして人気のスティミュレーターやディアヘアカディスなんかにもすごくオススメ。
必殺中の必殺、ヒグマの金毛をウイングにおっ立てた、ウルフ・スタイルのスタンダード系ドライフライなんかにも橙色ハックルはもはや必須の奥の手のひとつ。
以上、テレストリアルの季節に愛用している我がドライフライには、もうなんでもかんでも橙色の火の玉ハックルをハックリングしまくって、巻いて愉しいだけでなく、コレめっちゃ効きまっせ、という戯言を熱く燃えながら語ってみました。おもしろいので、ぜひお試しを…。