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釣り人徒然草

B's Fly Works presents タイイングデスクで独り言 - ハックルにタックル その1
2026.03.23
備前 貢
ホワイティング産ダイドハックルの銘色ゴールデン・ストロウで春一番
わがホームグラウンドとなる北海道の道北や道東地方の本格的なドライフライシーズンは例年だと5月末くらい。北海道名物ハルゼミの集中流下とともにはじまる。
つまり、シーズン最初のしょっぱなからハルゼミを表現した特大サイズのドライフライをつかって一発ドカンと狙い撃ち、という非常にエキサイティングでインパクトの高い釣りになる。そして毎年、そんなビッグでファットなドライフライで釣りあげられた、ビッグでバッドなマスたちがSNSや雑誌を賑わせる。夢見る釣り人たちはすっかりその気になって、サイズ4番とか6番とか、エグいでかさのドライフライをボックスにギュウギュウ詰めにして、大物浪漫いっぱいの有名河川にはるばるやって来る。
もちろんウェルカム。
ウェルカムついでに、今シーズンそんな釣行計画を練っておられる方々に、おっちゃんがちょろっとええことおしえたげる。どでかいセミやスティミュレーターはたまた巨大カディスなんかも、この季節もちろん最重要フライズなんだけど、それともうひとつ、ドライフライで良い釣りしたいなら、黄色っぽいジンジャー系のサイズ10番から12番各種があると、でかいの出る可能性もありながら、サカナのサイズ問わずこの時期ならではの愉しい釣りになる。
なぜなら、この季節は水面ビリビリ震わせて賑やかなに流れ下るハルゼミを見慣れる6月はじめころから、黄色い虫たちアレコレが一気にドバっと羽化して、一日中なにかしらがドドッと大量流下している。
そしてハルゼミの流下ピークがひと段落してサカナたちのスレ度も高まった6月はじめころの真っ昼間は、普通サイズのスタンダードなジンジャー系ドライフライをつかって印象深い釣りを愉しむチャンス。ドライフライの花道みたいな、見目麗しいクラシック・スタンダード・ドライフライを太いティペットに結んでアップストリームに投げて流して、良い型のマスがガボッと出てくれるという、じつにエレガントそしてエキサイティングな釣りが堪能できる。
ホワイティング・ダイドハックルの銘品ゴールデン・ストロウと、グリズリーをゴールデン・ストロウ・カラーに染めたハックルは、この時期の黄褐色系ドライフライのハックルとして、とくに気に入っている。この時期に羽化している各種の虫たち全般の色合いにほどよくマッチしている。そしてなにより、ダイドならではのメリハリの効いた鮮やかな発色で、ジンジャー系ハックルのなかではぶっちぎりの頼もしい視認性の高さ。とっても使いやすい。
たとえば、ハルゼミの流下とまったくおなじ時期、ちょっと気にして周囲を観察すると、可憐で華奢なミドリカワゲラやガガンボが川面をヒラヒラ舞っているはず。そんなときは、サイズ12番に巻いたスタンダードなライトケイヒルやウルフ系などの、スレンダーなボディで水面高く浮くタイプが、釣り人の多い場所ではとくにハルゼミをもしのぐ大物キラーになったりしたこともあった。どうも、スレッスレの海千山千の巨マスたちはこの季節、スレンダーなフォルムで水面高く浮いてくれるライトケイヒルがとっても美味しそうに見えるみたいだ。
さらに、ハルゼミ流下の終盤ころ、例年だと6月半ばから最終週にかけて。川岸の草をガサガサやると、羽化したばかりのニンギョウトビケラの仲間らしき、半透明な黄褐色ウイングがキレイなカディスが数匹パラパラっと舞い落ちたりする晴天無風の日の午前中とか、準備してるときからドキドキ。
大チャンス。
10番くらいのボディ・ハックル厚巻きヘアウイングどっさりめで巻いたボテッとしたフォルムのヘアウイング・カディス。さいしょはベチャと浮いてるけど、ほどなくしとどに濡れそぼってフライのボディは完全に水没してるけど、ウイングの浮力で浮くでなく沈むでなく水面直下でフラフラ、みたいな状態。ニンギョウトビケラの時期にかぎらず、ぼってりフォルムのヘアウイング・カディスの半沈み、道内各地どこでもいつでもすごい効く気がしてますけど、どうですか?
たとえば、明るい色調のエゾジカのヘアウイングに、ゴールデンストロウのグリズリー染めボディハックルのヘアウイング・カディスは、ビビッドな発色のジンジャー系なので、半沈みでも水面下でも意外なほど目で追えるのがたのもしくて定番中の定番。 ここでくる! と予想した深瀬の瀬尻のカケアガリで、読みどおりムワッと水面が揺れて、水面直下を流れるフライがガッポリくわれてズンッとあわせてダバダバッと炸裂系の水しぶきがあがったあの瞬間。あの、すべてが突き抜けちゃうような、してやったりの瞬間。
ことしも体験したいです。できたらしょっちゅう。