テレストリアルシーズン Rene’ Harrop: Bonnie Harrop photo

2015.09.05

A Trout Hunter[5]

いつもはトラウトの興味を独り占めできるメイフライやカディスも、毎年ある時期が来ると、ハッチをしない別の捕食対象と、トラウトの注目を分け合う必要がある。

         水中から水面に上がってくる水生昆虫と違い、テレストリアルであるビートル・アント・ホッパーなどは陸が住処である。本来は陸または水辺の植物に生息するテレストリアルがトラウトの餌となるのは、強風や落下により不本意にも水面に触れてしまった時だ。

理由はまだ明らかではないが、トラウトは多くの捕食対象の中から特にテレストリアルを好んで捕食する傾向がある。だから多くのアングラーはテレストリアル・フライが非常に効果的になる7月の終わりから9月半ばを楽しみにしているのだ。

         テレストリアルの時期になると、風が運んできてくれる魅力的なインセクトを求めて、トラウトが川や湖の岸を巡回し始める。

         ホッパーやクリケットは体長が1インチ以上になることもあり、トラウトが惹かれる理由は明らかだろう。そして水面を強く蹴る特徴があり、激しい動きにも惹きつけられるのだ。

Black CDC Cricket

 

Cricket

CDC Rubber Leg Hopper

 

ビートルの成虫も大きくはなるが、何もトラウトは大きさだけを求めているわけではない。数フィート先の14番〜16番サイズのビートルを求めてくるのを見たことがある。私自身、さらに小さなサイズのビートル・フライも持ち歩いている。

Small Beetle-Big Rainbow

Black CDC Beetle

羽蟻や水バチは飛ぶことができるため、ヘンリーズフォークのような広い川でも全域で見ることができる。時にはメイフライのハッチに相当する数が水面に浮くこともあり、14番サイズに近づくにつれ、グリーンドレイク同様の興奮が味わえる。一方でトラウトはサイズに関係なくアントを好むため、私のフライボックスには必ず24番サイズが数個入っている。    

CDC Winged AntDark Honey Water Wasp

空気が冷たくなる頃、テレストリアルの季節は終わりに近づき、冬の到来を告げる。しかしそれまでの約8週間、ドライフライアングラーをこれほどまで笑顔にしてくれるインセクトは、他にない。

 

Ant Business 

 

The Tools of a Trout Hunter

By

Rene’ Harrop

(Bonnie Harrop Photos)

 

 

 道具のクオリティーを選ぶのは私たちの手にかかっている。つまりロッドやリール、ラインやリーダーの性能が悪かったがために釣果が上がらなかった、という言い訳は通らないのだ。私が好んで使う以下のツールは、実際に釣りで使用した経験、そして商品製造に携わる人達との信頼関係によって厳選されたものだ。

 

Rod

Scott Radian 904/4

Scott Radian 9'0   4 Line[3] 

Reel

Hatch fanatic 4 Plus

 

Line

Airflo Elite DT4F

Hatch Finatic 4 Plus-With Airflo Elite DT4F Line[3] 

Leader and Tippet

TroutHunter

 TroutHunter Leaders and Tippet[5]

 

Rene’ Harrop

Henry’s Fork Day by Rene’ Harrop Photo by Bonnie Harrop

2015.08.02

 

 

Drake VictimHenry's Fork Day 2015

悪天候を唯一の例外として、ヘンリーズフォークでの釣りが完全に閉ざされることはない。実際、流程の大半が周年の釣りを許されているのだが、多くのフライフィッシャーにとって最高のシーズンは夏だ。
 人気の高いフライフィッシング専用区間ハリマン・ランチを含め、6月の第3週には全域において釣りができるようになる。もっとも多くの釣り人を見かけるのが、この時から7月中旬まで。気持ちのよい天気と、16時間にもわたる長い日照時間は、いくら釣っても釣り足りない野心的な旅人には嬉しいものだろう。

Henry's For High Jumper
 それはドレイクの時でもある。3種の大型メイフライが、巨大なマスを水面に惹きつけるのだ。グリーン、ブラウン、そしてグレイ・ドレイクはいずれも#12より大きく、初心者に優しいとは決して言えないこの川で、成功の可能性を高めてくれるハッチなのである。

A Gathering
 ヘンリーズフォーク・ファウンデーションがこの時期に合わせて行う「ヘンリーズフォーク・デイ」は有名である。6月20日あたり、ランチの北境界線あたりには巨大なテントが立ち、寄付金が次々と集まる。500人を超える参加者が、この川の環境保全について考え、行動する。
 ドレイクのハッチがなくなり、ヘンリーズフォーク・デイの群衆が消えると、川も普通に戻る。ここに住むものは、ゲストたちの来訪やちょっとした喧騒を決して嫌ってはいない。私たちが享受しているすばらしい釣りは、彼ら来訪者の力によるところが大きいのだし、何より、彼らはみなヘンリーズフォークを仲立ちとする友人たちなのだから。 

Gulls and Drakes

A Gift to An Old Fisherman 老境の釣り師への贈り物 by レネ・ハロップ

2014.03.27

ヘンリーズフォークに設けられたキャッチ&リリース・セクションのゆるやかな流れを釣るひとは、18インチを超えるマスを探すのだろう。サイトニンフィングが必要になるときもあるが、おもにライズの釣りである。食事内容は昆虫を中心とするレインボーは、7年以上も生きることがあるが、巨大に成長した個体はちいさなドライフライ、細いティペットではまったく太刀打ちできないように思える。フライロッドを手にする釣り人の大半もそうだろうが、そんな魚こそ、少年の頃から私をヘンリーズフォークに縛り付けているものだ。私は一人ではないことも申し添えよう。

 

 

例外はたしかにあるものの、成熟したマスのライズフォームは繊細で、波紋の大きさと魚の大きさが比例すると考える慣れない人の目は容易に見過ごしてしまう。流れの中央に突き出す鼻先や、岸沿いに生まれる小さな水のくぼみなどこそ、巨体の徴である。大型のサーフェイス・フィーダーを探すことができる人は、ちびのライズに惑わされることはほとんどないが、熟達の人にすら時におどろきが訪れる。満足のゆくマスと出会うことができる安定した状況も、ライズの下に特別な何かを隠していることがある。昨年の6月遅く、私はそんな場面に出会った。私の人生のなかでも二度とない体験だろうと思う。

 

 

光の強い夏の日にやってきた雲と小雨は、運を変えたようだった。数分前にはまったく生命感に欠けていた水面を流れるペールモーニング・ダンは、それまでどこにいるか分からなかった魚の注意を、ただちに水面に引きつけた。最初の20分間ほどは小ぶりがいっしんに捕食を行っていたが、広がる厚いウイードベッドの切れ目には大型がしだいに集まり始めた。まずはよく肥えた18インチほどの魚がかかったが、アクロバットにも似た跳躍で、すぐにフックを振り外された。気を取り直してウイードの下流側に目をやると、さらに大きな魚がライズしている。活発に水面から餌をついばんでいるその魚よりもやや上流側、クロスストリームにポジションを取り、40 フィートのリーチキャストを繰り出す。難しいプレゼンテーションではなく、魚はひと流し目でPMD イマージャーを押さえ込んだ。

 

 

 

フックの痛みはつねに大型魚から強烈な反応を引き出すものだが、あの爆発のような水柱と、信じられないようなプロポーションを持つレインボーと目が合ってしまう体験は予想していなかった。それから当然耐えるべき、上流に向かう長い走り、3メートル上からボーリングの球を落としたような二度のジャンプ。すでにバッキングが出ていたが、そこでラインが弛んだ。終わった。私は下流に顔を向け、妻のボニーと息子のシェーンが、この「力のショー」を見ていたか確かめようとした。

 

 

藻のかたまりにひっかかった、力なく浮かぶラインを巻き取るとき、私の心にあったのは失望ではなく、高揚と驚きだった。バッキングとフライライン半分ほどがリールに入ると、なぜかまた抵抗が感じられた。おかしいと思いながらプレッシャーをかけると、ロッドは見えない抵抗を受けてまた曲がり始め、動きが感じられるようになった。信じられないことだが、6x ティペットと #16 のフライは、三度の跳躍と100ヤードの疾走に耐え、いまだにその巨大な雌とつながっていたのだ。なぜそのマスが、上流に走り続けるのではなくもとの場所に戻ってこようとしたのかは分からない。しかしそれはまだ第1ラウンド、ファイトはまだこれから続くはずなのだ。

 

 

よくある次の戦術として、魚は密集した藻の中に体を潜り込ませようとしていて、まだつながっているという証は、時折伝わってくる尾の脈動だけだった。腰まで水に入った私は、3メートルほど離れたところに突き出した幅広い尾びれを見つけた。その魚を引き出すには、下流側から直線的にプレッシャーを加えること、それ以外の方法では勝ちめはない。私はロッドティップを魚の深さまで沈め、真後ろに引いた。この戦略は効いた。いらついて身をねじりながら、幅広い体が水面近くまで浮き上がった。必死の疾走を見せることはなかった。岸際の浅瀬を目指してバックしながら、私は次の一手を考えた。危険なウイードベッドからは引き出すことに成功したが、その魚はいま水底にべったりと貼り付いている。間に障害物はないので、私はロッドを水平に保ち、岸に向けてプレッシャーをかけることにした。一度にリールを数回転巻けるだけだが、このゆっくりとしたポンピングは彼女を着実に引き寄せた。苦痛になるほどスローながらも、希望が見えてきた。実際のところ、まったくミスマッチな相手との戦いに勝てるかも知れないと、私は思い始めたのだ。

 

 

18フィート・リーダーの継ぎ目がティップトップに入る時は運命の瞬間であるが、魚は落ち着いていた。水深が30センチもない場所に、巨大な魚が寄って来た。まったくなじみのない、現実であるかどうかすら疑ってしまうような状況だった。長いファイトのすえに、ちょっとした失敗のせいで、記憶に残ったであろうマスを取り逃がしてしまった経験は数えきれないほどだ。ネットを持ち、勝利が近づいてきたこの瞬間、アングラーは大きなプレッシャーを感じる。生涯に一度の魚がすぐそこにいて、まったく不釣り合いなネットを手に持っている場合、それは「強烈な緊張感」などをやすやすと超越する。魚の頭を浮かせ、構えたネットに滑り込ませるといういつものランディング・テクニックが通用すると思っていたのは、いま考えれば愚かだった。魚が大きすぎるのだ。しかし10分間も続いたファイトの締めくくり、最後の奇跡がおこり、27インチのヘンリーズフォーク・レインボーは小さなネットに体を収めることになった。ありえないことだが、この巨大なマスは降参したように、逆らうことなくネットに滑り込んできたのだ。今までにない経験に混乱し、傍目から見ても動揺がわかったであろう私は、これまでの出来事を理解しようとつとめていた。

 

 

 

20世紀の半分と、新世紀のすべてを使って、私はヘンリーズフォークのレインボーを追いかけてきた。釣りの日数は千単位にのぼり、キャッチしてきた大型も、おそらく同数近くになるだろう。その中には、真に巨大な魚との出会いも散らばり、何尾かは実際にランディングもできた。しかしティペットが細くフライが小さい場合、ヘンリーズフォークの巨魚にはかなわない場合がほとんどなのだ。体長が 24 インチを超え、重さが6ポンド以上になれば、スキルとタックルの両面が完璧にマッチしないと負け戦である。パワー、自由を望む意思の力、それらにおいて巨大なマスは優れており、ライズからネットに至るまでのプロセスには危険要因があまりに多い。

 

2013年6月30日の魚は、私が決して期待していたものではなく、キャストの時もこれほどのサイズとは思わなかった。私のキャリアで最大のレインボーとなったこの魚は、ヘンリーズフォークを釣り始めてから59年目の私に、与えられた。同じようなサイズのスティールヘッドも、アングラーの顔に笑みをもたらすだろうが、このレインボーが持つほんとうの意味は、ヘンリーズフォークに通い込んだトラウトハンターたちしかわからないのかも知れない。あの魚は、いっさいのハリ傷がない健康な個体で、ライトタックルでどうやって釣り上げることができたのかいまだに理解できない。ファイトの終盤、頭をすこし振るだけで、あるいは尻尾を振ってダッシュするだけで、簡単に自由になれたはずなのだが、その理由は永遠の謎になるだろう。説明のつかないことに関して、ボニーはいつもよいことを言う。今回もそうだった。「たぶん、老いた釣り師への贈り物なのよ」。(東知憲 訳)

ノーハックル・ドライフライ by レネ・ハロップ

2013.12.30

 

 

ハックルを使わずにドライフライを水面に支えるナチュラル素材としては、ディアヘアやCDC を初めとし、数多くの選択肢が存在する。しかし歴史的な視点からいえば、「ノーハックル」という呼称は、マラードダックのプライマリ・クイルから切り出したセクションをウイングとして使うスタイルを指すものである。

 

 ウィリアム・ブレーヅとJ. エドソン・レナードによると、この種のウイングはコンセプトとして1920年代に広まったということであるが、実質上ノーハックル・フライの生みの親はダグ・スイッシャー/カール・リチャーズのコンビである。

 

 きわめて大きな影響力を持った彼らの著作『セレクティブ・トラウト』の出版は 1971年だったが、私はそれを遡る数年前、ヘンリーズフォークで彼らと初めて出会った。プロタイヤーとしてまだ駆け出しだった時代、私は彼らとの釣りを楽しむことができ、ノーハックル・フライは今に至るまでハウス・オブ・ハロップ製品のなかで重要な部分を占めるシグネチャー・パターン的存在となった。

 

 現代的なフライパターンのなかで、その効果を50年近くにわたって維持することができたものはほとんど存在しないように思うが、ノーハックルはスイッシャー/リチャーズがこのあたりをよく訪れていた頃から今まで、魔力を保ち続けている。ただし銘記しておかなければならないことが1つ。ダッククイルのウイングを正しく取り付ける技術の習得は簡単ではなく、仕上がりの悪いノーハックルはそれなりの効果しか持たないのだ。

 

 最高のバランスと浮力を達成するためには、シャンクの上でなく側面に、完璧に左右がマッチした幅広のウイングをマウントしなければならないが、それはスイッシャー/リチャーズですら難しいタイイングだった。しかし、適切に巻かれたノーハックルは、シンプルながらもたいへん美しく、メイフライ・ダンのイミテーションとしてユニークな精密さを持つのだ。他のフライに納得してもらえない時につまみ出す切り札としてのノーハックルが持つ、今にも飛び立ちそうなイメージは、マスを惹きつける神がかった力を発揮する。

 

 21世紀、創造力ゆたかなタイヤーたちは新パターンをつぎつぎと生み出してゆく。新作フライが注目を浴びようと声高に叫ぶなか、ノーハックルが生き残ってゆくかどうかを左右する要素とは、タイイングの難しさと大量生産への不適合性だろう。しかし、その限界があるからこそ、完璧なノーハックルが各地のタックルショップやフライフィッシャーたちのフライボックスの中に潤沢に供給されることはなく、ありきたりの存在に落ちることもない。

 

 ノーハックルは、巨大なレインボーが厳しい批評家として君臨するヘンリーズフォークの透明で緩やかな流れで効果を発揮してきた。他の数多くのパターンが時代の波に呑まれて消え去ってゆくなか、この古いパターンがいまだに使われ続けているのはすばらしいことではないか。(東知憲 訳)

 

スコットG2 844/4雑感   by 備前貢

2013.11.06

ぼくがスコットG2の844をつかいはじめたのは、もうかれこれ7~8年前。その当時、ぼくは富士山の麓にある街に住んでいた。そこでは富士山の豊富な湧水をあつめて流れるスプリング・クリークや、川べりに民家や工場の建ち並ぶ里川、あるいは夏にはアユ釣りでにぎわう堂々とした本流筋などが日常の釣り場だった。

 

 

フタバコカゲロウやシマトビケラなどなど、豊富な湧水に支えられながら一年を通して羽化している、ちいさな水生昆虫にライズしているスレにスレまくった尺アマゴ。つかうフライの常用サイズはほとんど18番以下。ハックルをほんのひと巻きとか、CDCのファイバーをごく数本など、華奢に巻かれたそれらのフライを結ぶティペットはたいてい7X。ときに8X。そんな道具立てでライズの主ににじり寄って、複雑に絡み合う流れの筋を制するために、あれやこれやのトリックキャストを駆使しながら狙う純度100%のマッチ・ザ・ハッチの釣り。サカナをフライに掛けるまでも大変だったけれど、掛ってからがまたひと苦労。なにしろ相手は百戦錬磨の丸々太った尺アマゴ。掛った瞬間、ギリギリと魚体を回転させながら転がるように下流に走ったかとおもえば、まったく予想のつかないうごきで水中深く突進していくアマゴを、細いティペットをかばいながらいなしつつやりすごす。そんな繊細な釣りでメインにつかっていたロッドのひとつが、このロッドだった。

 

 

そして現在、ぼくは北海道に住んでいる。一年中、道内のいろんな釣り場にでかけるけれど、ここ数年もっともハマッているのは、なんといっても道東地方の広々とした山岳渓流での真夏のドライフライの釣りだ。つかうフライはハルゼミや大型の甲虫類を意識したテレストリアル系。フライは最小サイズでも6番。常用するティペットは3X、ときに2X。フライのサイズが特大なだけに、投げるときの空気抵抗もハンパない。のだが、それを手返し良くバシバシとポイントに打ち込みながら巨マスを探して釣りのぼっていくような釣り。轟々と流れる荒瀬の流芯を、ドンブラコッコと流れる特大のドライフライにむかって、ドンッ!と地響きをたてるような水飛沫をあげて飛びだす無垢の野性のニジマス。その瞬間、いつもこれからはじまる闘いのゴングが鳴り響いたような気がする。有り余るパワーと巨体にモノをいわせて、有無を言わせない怪力で爆走しながら激流のなかに突っ込んでいくヤツ。まるで狂ったかのように、水面高くジャンプしつづけるヤツ。さまざまなタイプのニジマスがいるけれど、いずれも誰もが認めざるを得ないチカラ自慢の猛者たち。こちらも、極太のティペットにモノを言わせて強引なやりとりで応戦。チカラとチカラがぶつかりあう一騎打ち。と、そんな豪快な釣りで大活躍してくれているのも、このロッドだ。

 

 

いわば、対極をなすような両極端な釣りの場面で、このロッドがその実力をいかんなく発揮してくれる潜在能力は一体どこにあるんだろう?

 

 

まことに僭越かつ分不相応な物言いではありますが、つかい倒し過ぎてもはやグリップが手垢まみれのツルッツルになってしまった我がG2844を眺めながらつくづくおもうのは、このロッドのバット付近のパワーと、繊細さを残したティップの絶妙なバランス感覚にあるのだなあと痛感しているんだけど、いかがなものか?

 

 

強靭というよりも「ねばり腰」とでも表現したい、独特な感覚のバットパワー。ドバッとフライにでた巨マスをバシッと合わせてドスンッとくる衝撃を受け止めたとき、そして巨マスの突進をなんとか止めるために、いちかばちかグーンとロッドをためるとき、そのチカラを吸収するかのようにジワ~ッと効いているバット付近のブレのない安定した感じ。これなら闘える!とおもえる安心感こそが、ぼくのこのロッドへの愛着につながっている。

 

 

あるいは、極細のティペットに結ばれた極小のフライが、唇の端にチョンと刺さっているだけのハラハラ状態で、キリキリ舞いしながら予測不能なファイトで翻弄してくれる尺アマゴ。そのトリッキーなうごきに反発することなくグイーングイーンと追従しながら細いティペットと口切れから守ってくれるティップ。それでいて、ただサカナのうごきになすがままになるのではなく、逆にタメの効くバットを活かしてサカナをコントロールしつつ寄せてくるような、あの感覚。手で引っ張れば簡単にプツッと切れてしまうような仕掛けでも、これなら取り込める!とおもえる信頼感もまた、非常に心強いかぎり。

 

 

と、フライロッドについて語られるとき、キャスティング性能やアプローチ能力についてどうこう言うべきところを、ここでは「ぜったいにバラしたくないトロフィーサイズを掛けてからどうなのか……」というところに終始してみた。

 

 

ぶっちゃけたところをいえば、もう釣りと~て釣りと~てたまらんわけですわ~。

 

 

なので、自分にとってのロッドの良し悪しを判断するには、まずフライにサカナがでてビシッと合わせた瞬間の感覚。そしてさらにロッドを通じて伝わってくるサカナの暴れる感触。これがまずとても重要で、ものすごく大事なのです。

 

 

最初にこのロッドをえらんだとき、携帯に便利な4ピースということもあって、なるべくいろんなスタイルの釣りや釣り場に対応できるようにと、この長さとこの番手をえらんだつもりだった。遠征時のサブロッド的な使い方をしようという目論見だった。

 

にもかかわらず、さまざまな場面での数々の実績を経て、いまではもっとも使用頻度の高いロッドとして、シーズン中は常時クルマのなかに置きっぱなし。「きょうはぜひとも釣りたい」というときは欠かせないロッドのなかの一本として愛着もひとしお。

 

 

それで、あの、自慢しちゃうんですけど……つい先日も、流れが止まったようなおおきなプールのジンクリアーな水中深くで、まるで潜水艦のように定位していた60センチ・オーバーのニジマスを発見。14番くらいのちいさめのニンフを4Xのティペットに結び、そこに米粒ほどのオモリを5個ほど連ねたヘビデューティかつ変則的な仕掛けをエイヤッと投げてドボンと沈め、まんまとパクッといっていただくことに成功。

 

 

水中深く沈んだ小さなニンフを、巨マスの硬い上顎にグイイイイイッとロッドをあおりながらブッ刺した瞬間の、水圧の壁と重いオモリの抵抗をものともせず「タメの効いたバット」からたしかにズシッと伝わるあのカイカン。そして、フッキングした巨マスがグネグネグネッとおおきく頭をふるやいなや、あれよというまにバッキングまで引き出しながら右に左に激走しているときに、口先に浅く掛っているだけの小さなフックが弾き飛ばされないように「ジワワ~ッとサカナの走りに追従するティップ」のカイカン。勝負のツメはバットのパワーに全信頼を寄せてロッドをガシッとためながらケンカ腰で寄せてきた。そしてザバッと強引にネットに押し込んだ。その瞬間おもわず「グハアッ」なんて吐息まで洩れちゃったのだった。

 

 

すっばらしい闘いだった。そうそうあるわけではない、なにもかもがパーフェクトだったと思えた一戦。このロッドをつかって、またひとつ忘れ得ない思い出を刻んだ。

 

 

どっぷり余韻に浸りながら、河原の石に座りこんで一服。

 

 

「ほんまにエエ竿やのう……」あらためてしみじみロッドを眺めていると、もうどうしようもなく湧き出てくる愛着の念。

 

 

「あ~りがと~~~」おもわずグリップにチュッチュとキスしちゃうワタクシ。

 

 

アホやろか?

 

 

我が良き相棒、これからもヨロシクね。

 

 

 

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