刈田敏三のライズシアター(弥生)

2021.03.01

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荒川岸に、まだヒザにも届かぬ高さの黄色い花が咲き始めた。渓流域に菜の花が咲くと、そろそろシロハラコカゲロウのハッチシーズンに入る知らせ……見つめる水面を流れてきたのは、アパタニア。北半球の渓流に広~く生息している、ごく普通のカディスだ。和名でいうとヒラタコエグリトビケラ。

 

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ハッチは早春からで、カディスとしては、もっとも早くハッチするのがこのアパタ。シロハラコカゲロウのハッチに混じってイマージャーやらトラップト・アダルトが流下し、ライズに絡む……油断ならない存在。ともあれ、早春のハッチは、ちょうど昼頃がピーク。朝から頑張りすぎてしまい、うっかり昼食に川を離れるとせっかくのチャンスを失ってしまうことになる。昼めし時こそがハッチタイムなのだ。

 

アパタは、水面羽化で体長が8㎜。なんと使いやすいフライサイズだろうか。しかし1つ問題がある。イマージャーやアダルトの体色は、ベース的にオレンジ系褐色なのだが、背面に特徴的な濃褐色のラインがあって、フライタイイング的にちょっと悩ましい。「マッチング・ザ・ドリフター」にこだわるカリタ式では、やっぱりマーカーを使って背面を部分染めすることになる。アブドメンは昆虫らしさのテクスチャーを尊重して、シルクミシン糸のクリーム系カラーをヨリを戻しながら巻き、グレイのモノフィラでセグメントを作る。それからオレンジ系褐色マーカーで全体を下塗りし、背面に濃褐色系マーカーでラインを描く。アブドメンの仕上げは、UVレジンのコーティングだ(ネイル用トップコートなどでも可)。

 

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フック・・・TMC206BL #14~#16

スレッド・・・ダンビル 6/0 ベイジュ

アブドメン・・・絹ミシン糸 50番 クリーム系淡色

セグメント・・・フジックス モノカラー(ナイロンモノフィラメント)#60 スモーク

ソラックス・・・ヘアーズイア 淡色

ウイング・・・ヴェインファイバー シナモン 

マーカーA(ボディ全体用)・・・カラーマスター MUSTARD 

マーカーB(ソラックス・アブドメン背面用)・・・カラーマスター SEPIA & DARK BROWN

 

 

水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

TACKLE TIP Feb 15

2021.02.18

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さて一部の川では解禁となって、いそいろ情報が入ってきていますね! 私もそろそろラインを手入れしリーダーを交換し、とりあえず使いそうなフライを巻く…といういつもの準備が始まります。

 

今回アドバイスしようと思うのは、フライラインの選び方です。かつて簡単だったこの作業が、じつは今とても難しい。#5ライン1つ取ってみても、基準どおりの標準的なものから、実質上#7 相当のものまでさまざま。フライロッドもそうです。昔ながらの#5の硬さのものから、実質上 #7 相当の硬さのものまであります。つまり、ロッドの硬さとラインの重さに関する基準が、どちらも大きな幅を持ってしまっているのです。悪夢となるのは、両端の組み合わせをしてしまったとき。昔の柔らかい5番ロッドに、現代の重い5番ライン(実際は7番相当)を乗せてしまうと、最悪の場合は普通に投げていても折れてしまう可能性があるし、逆に硬いロッドに軽いほうのラインを乗せてしまうと、ぜんぜん乗らない感触になってしまうかも。

 

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この釣りを真剣にやろうという皆さまはぜひ、AFFTA規格チャートをダウンロードしてプリントアウトしておいてください(覚えておけばなお可)。これが、フライライン先端9メートルの重さで、シングルハンド用フライラインの基準となっています。だいたいライトラインの域内では、20グレイン(1.3g)刻みで番手が上がっていきます。このチャートは、ごく普通の硬さのフライロッドで、快適に使えるライン重量と考えて良いでしょう。これを基準にして考えましょう。謎のメーカーのものを除き、だいたいのフライラインは先端30フィートのグレイン重量が記載されています。それをチャートと照らし合わせ、果たしてこれは重めのラインなのか、標準的なラインなのか判断する。次に、ご自分が使いたいフライロッドの硬さが、標準的なのか硬めなのか、それとも軟らかめなのか確認する。ちょっと硬めであれば、実質上1番手重いフライラインを組み合わせるのが良いでしょうし、硬いロッドに軽めのラインを組み合わせれば、幅の狭い速いループを繰り出せることも期待できます(ロッド操作は難しいけど)。

 

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ちなみに私はといえば、3番までのタックルはおおむねDTを使っています。DTはあまり工夫のしようがなく、だいたいはAFFTA基準に合致していますし、飛距離が出ないといっても渓流や川ではそれほど投げませんから大丈夫。難点といえば、ずーっと太いのでリールに巻くとかさばることくらいでしょうか。飛距離も求められる5番以上はウエイトフォワードを使いますから、上記のチャートをかならず参照して製品の選定をしています。私はどっちかといえば保守派で、番手通りの製品が好みであると申し上げておきましょう! 悩んだら……ぜひ商品知識豊かなプロショップに訊いてください! 実店舗は、その存在意義の1つが、タックルのマッチングに関してアドバイスを行うこと、になってきたようにも思いますから……。自分にあった、バランスの取れたタックルを使うことの至福は、フライフィッシングならではだと思います! 

 

 

東 知憲

刈田敏三のライズシアター(如月)

2021.02.01

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数日前、やっと埼玉県の秩父辺りに雪が降った。川岸が白くなれば、ワクワクするね。それまで見えにくかった、クロカワゲラの遡上ウォークが丸見えになるから。そんな時、川の中では、クロカワゲラのフローティングニンフがゾロゾロと群れて流下しているはず。

 

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クロカワゲラの流下は、ハッチに直結するわけではない不思議な現象で、冬から春までだらだらと続く。そのニンフときたら、下流に流された後に陸上羽化してアダルトになるのだ。

アダルトになったら、今度はせっせと上流の故郷を目指してウォーキングを始める・・・産卵に帰るわけ。ウイングがあってもあまり飛ばずに歩きが主流だし、ウイングの無いアダルトだっている。

 

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ともあれ、クロカワゲラフローティングニンフの流下があれば、ヤマメなどは大騒ぎ。ストマックから100頭以上も出てくるほどパクパクライズを見せる。

フライフィッシング的には、#18位のニンフパターンを水面直下にドリフトすればマッチ出来る。しかし私は、パラシュートハックルの目立たないネオパラタイプのフライを好んで使っている。

 

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ネオパラでは、細くて張りのあるハックルをごく少量、下面を水平に巻いてあるから、渇水期に重要な、フライのソフト着水もイージーにこなせる。あの激ムズ系クロカワゲラ・フローティングニンフの流下は毎年たいへん楽しみで、ついアダルトを河原に探してしまう。この時期ならではの楽しみを、ぜひ皆様も!

 

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フック    ・・・TMC206BL #18

インジケータ ・・・ヴェインファイバー フォックス

ハックル   ・・・ホワイティング ルースター

スレッドA   ・・・ベネッキ UF ペールイエロー

スレッドB   ・・・ベネッキ UF オリーブグレイ

ボディ    ・・・シルクミシン糸50番 クリーム色

セグメント  ・・・モノフィラメント #100 スモーク色

レッグ    ・・・ヴェインファイバー シナモン

 

※ボディ全体は、水性顔料マーカーMUSTARDで染め、UVレジンでコーティング。 ENJOY!

 

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水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

刈田敏三のライズシアター(睦月)

2021.01.07

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いつもライズへまっしぐらの、刈田です。今回は、この1月頃から春に向けて、最強の決め手となるドリフターをご紹介しましょう。それはブユ。ブラックフライとも呼ばれる小型のボトムハッチャー。ハッチは大量となるが、その大量ハッチに気づくのも難しい水中系ドリフターです。

 

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魚は水中でバクバクと猛烈に捕食を繰り返します。私は、そんな水面下のライズをサブライズと呼んでいます。そんなやっかいなサブライザーには、パラシュートパターンを改良した、ブユ・ネオパラ・スティボーンが効果的です。ブユのハッチシーンでは、その高視認性とパラシュートパターンの使いやすさで、ぜひ試していただきたいもの。

 

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このパターンはハッチを完了できずに、水面直下を流下するスティルボーンを念頭にデザインしてあり、ハックルはヒーバートで2回転のみ…これが重要。パラシュートパターンの弱点を、このハックル仕様で克服できたと感じています。ハックルの下面を完全水平に巻くことによって、少ないファイバーで水面をとらえ、長いハックルによるソフト着水効果もあってフロータントも要らないほど。

 

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フック      …バリバス200BL #20~22

スレッド     …VEEVUS 16/0 A08 ダン

アブドメン    …シルクミシン糸#50 ベイジュ色

セグメント    …ナイロンモノフィラメント・#60 スモーク

ソラックス    …ピーコックソード

ハックル     …ホワイティング・ヒーバート

インジケーター  …ヴェインファイバー・サーモン

※アブドメンは、ハッチ直後は淡色、やがてダークグレイから黒っぽく変わります。マーカーで好みに染めてからUVレジンでコーティングすると、丈夫でよりリアルになります。ENJOY!

 

 

水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

スイング&ドライ— 下山日記

2020.12.24

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 今年いちばん良かったフライの1つは、ドジョウのイミテーションですね。見かたによってはカジカにも、という感じで作っています。本流だけではなく、中流から上流部にかけてもよく釣れるフライです。深いところだけではなく、ヒザ下くらいの浅場までいけます。水生昆虫はもちろんですが、その他でよく捕食されている生き物はドジョウやカジカだと思います。北海道ほぼ全域の川で、フクドジョウはほんとうによく見かけるくらい大量に生息しています

 

 サケ稚魚、ウグイの稚魚などは季節限定なんですよ。固まって群れになっている時期はすごく効果的で、それに対応したフライもあるんですが、いなくなっちゃうと釣れない。それにくらべて、そこらへんにいるフクドジョウのイミテーションは周年、オールラウンドに使う事ができます。

 

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 私の使っているドジョウのイミテーションに名前はありませんけど、ディアへアヘッドを使わず、カナディアン・リンクスとかラビットなどのファーをダビングループに入れてスピンさせ、頭を作った、ダーティー・ホーのバリエーションという形です。ダンベルアイは必須で、全長は6.5センチに統一。これ以上長くてももちろん釣れるんですが、いちばんお尻にあるフックが外側から掛かる可能性が高くなってしまうので、一口サイズのこの長さが魚にもやさしいし、投げやすいです。

 

 フクドジョウは体側の縞模様が目立ちますから、シャンクから伸ばすラビットスキンはグリズリーっぽい色が合っています。魚がこれを見つけたら、かなりの高確率で口を使ってくれると思いますね。あまり意図的にアクションをつけず、流れに任せてスイングさせます。色目は、ナチュラルのグレイ系とオリーブ系をまず揃えておくといいです。

 

 

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 思い通りに釣りがやりにくい1年でしたが、来年はもっと楽しいことがありますように! なにとぞよいお年をお迎えください。

 

 

 

ドリーバーデン店主 下山巌

SIMMS & Scott Pro Staff   

 

イトウのスイング用ライン — WildなLife

2020.11.27

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道北の名寄に住んでいる私は、天塩川がホームです。圧倒的な自然の中を流れ、貴重なイトウが海と自由に行き来できる環境の天塩は、アトランティックサーモンやスティールヘッドのような方法でスペイキャスティングをし、釣りをすることができる、とても貴重な釣り場。そんな釣り方のために、私はラインをカスタマイズしています。

 

やる気のあるイトウを良いタイミングで狙っています。T-14などタングステンの入った重いシンクティップをどんと沈めて釣る、ウインター・スティールヘッドみたいなやり方もしていましたが、あんまり釣れないので、結局はインターミディエイトのティップやフル・フローティングに落ち着いています。ロングベリーのスペイラインで、ティップが交換できて、カムイ18フィートに合わせられるものが存在すればいいんですが、見つからないもので、結局は市販品を組み合わせて、長いシューティングヘッドにして使っています。シングルスペイ一発で打ち返すことができ、ターンオーバーがスムーズで、飛ぶラインが欲しかったんです。スカジット的なデザインだけですと、重さが集中しているのはいいんですが、どうしてもターンオーバーがぐちゃっとしてしまう。きれいにスパッと落とすためには、絶対的に長さが必要なんです。

 

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ロッドを曲げる重さをおもに作ってくれるのは、エアフロのスカジット・ドライバーです。720グレイン (10/11指定)ありますが長さは25フィート。これに、ジャパンカスタムの 「X-パーパス・シューティングヘッド」5/6番指定を、先端部の延長としてつけるわけです。重さは280グレインで、33フィートあります。合計して1000グレインちょうどの、58フィートヘッドができました。ちょっとヘンな使い方なんですけど、エアフロの「スカンジ・ロング」は600グレインまでしかありませんし、つねに可能性のある大型イトウに対しては重量級タックルが必要なんです。ほんとうはもうすこし長くてもいいんですが、この先端にさらにポリリーダーをつけるとこんどはターンオーバーが悪くなってしまうので、今はフロロカーボンのティペットを直接つけるだけにしています。

 

 

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どうしてもバックスペースが取れないようなタイトなところでは、前述 D/Xヘッドのインターミディエイト、13/14指定を単体で使います。これは43フィートのヘッドで、620グレインしかありませんが、カムイと組み合わせてもけっこう飛ぶんですよ。天塩川の河口でオーバーヘッド・キャストを繰り出し、イトウをリトリーブで釣るときは、いちばん比重の高い DI-5 がいいです。

 

やっぱりフライラインって、自分の用途に合わせて使いこなせるのがいちばんです。昔は、あれを切ってこれと組み合わせて溶着して、という試行錯誤の迷宮に入っていましたが、定評のあるものを買って使いこなすのがベストだと思います。選択肢を増やしすぎると、あんまり良いことはありません。エアフロの製品は、どれも世界各地でテストと実践を繰り返された、寿命の長いものです。それらを使いこなし、必要とあらば私のように最低限のカスタマイズをするという考え方がいいんじゃないかと思いますね。私はこのセットアップを、カナダのスティールヘッドにも持っていこうと思っています!

 

 

Wild Life 店主 千葉 貴彦

SIMMS & Scott Pro Staff

CASTING TIP Oct 31

2020.11.02

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けっこう苦手なオフショルダー・キャスト!

 

 

ポイントの位置、風向き、流れの具合などによって、フライを利き手と反対側に通してキャストする必要は必ず出てきます。これができないと釣りの範囲が大きく制限されると言ってもよいくらい、決定的に大事。しかし同時に、インストラクターの指導なしでは、習得に時間がかかるテクニックでもあるのですよね。ここでは、3つのことだけに注力して、来期のプレゼンテーション向上を目論みます。

 

オフショルダーが難しい理由は簡単で、自分の腕と反対側にフライを通す場合

1) 腕が体でブロックされ、動かせる範囲が狭くなりがち

2) ロッド先端の軌跡管理が難しい

からなんです。

 

どうしても、利き腕の付け根から遠いところで手を動かすことを強いられるので、こういうことになります。ループが二次元的に畳まれず、ぐねりとずれるように前に伸びたり、トップレグ(ループの上側)がへこんでしまったり、まったくループにならなかったり、という現象がよく生まれますね。

ではどういうことを心がければ、質の高いオフショルダー・キャストができるのか? ヒトツ、すべてのは土台から。キャスティングの場合は、バックキャストのストップ位置をどこにするか、ということが大きな土台です。オフショルダー・キャストの場合、その位置は通常のキャストの場合よりも「ちょっとだけ後ろ」にしてやるのは大きなコツ。ご自分のいつのもキャストでロッドストップ位置を確かめ、オフショルダーの場合はそれよりも後ろにズラしてやるのはとっても有効です。あんまり顔の前や体の前にバックストップ位置を設定しないほうがいいです。バックキャストの位置を後ろにずらす→次に行うフォワードの「押ししろ」が前方にできてくる、というわけですね。

 

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肘を張り出させてロッドを傾け、逆側の肩の上を通します

 

 

フタツ、肘から手までの前腕部とロッドがなす角度をチェック。ロッドの向きと前腕部の向きは、基本的に一直線上になるようにしたほうが、ティップの動き管理がシンプルになります(上の写真を見てください)。ロッドと前腕部にいくらかでも角度が付いていると、とくにリストダウン動作時にティップがねじれて動き、ループがヘンになります。

 

ミッツ、フィニッシュ時の手の位置が、きちんとターゲットにつながる面の上に来ているかチェック。オフショルダー動作でロッドティップを一直線上にうまく動かせたとした場合、フォワードのストップ位置は体から相当離れた、不自然とも感じられる位置に来るはずなんです。それが、体の比較的近くにある場合、たぶんループの品質はあまり良くないと想像できます。

 

ホントは皆さんとお会いして、チョイチョイと修正すれば見違えるくらいにループの質が良くなるのはわかっているんですが……こんなご時世なのでいつもより難しくなってきています。ぜひ上記ヒントをご活用ください。ロングティペットのナチュラルドリフト釣りでも、海釣りでも利きますよ!

 

 

 

東 知憲

旧友との決別

2020.09.23

A Trout Hunter[5]

 

 

 by レネ・ハロップ

 

そのくたびれ方は、一目でわかる。汚れたコルクのグリップは、繰り出してきた何万回ものキャストを物語る。9フィート4番のスコット・ラディアンは、過去8年にわたって私の手の中にあった。世界でもっとも厳しい釣り場の1つとされるヘンリーズフォークで、他のロッドに手を伸ばそうという気はいっさい起こらなかったという事実が、このロッドのすばらしさを物語っている。しかし、円熟の域に達したロッドデザイナーであるジム・バーチが新しいロッドのデザインを行っているという噂があり、試作品が今年の4月に届いた。「パラダイス・ランチ」という開発コードをバットに書き込まれた1本のロッドが、トラウトの盛期に合わせて製作されたのだ。私は4ヶ月以上にわたって、性能面に関するすべての仕様を検証することになった。すばらしいモデルであるラディアンの存在によって、この新製品が超えなければならないハードルは高い。

 

A New Best Friend

 

パラダイス・ランチは多様なハッチ、水の状態、天候などに対応する使い勝手の良さをクリアしていったが、使っているうち、この新設計テーパーがさらなる魅力を秘めていることに私は気がついた。フライフィッシャーはそれぞれ好みがあるものだが、いくつかのフライロッドを使い込み深く理解していることこそ、実際の魚との対峙には大事なことだろう。ヘンリーズフォークの魚は不完全なプレゼンテーションを許容しないので、正確度とコントロールが決定的要因だ。そして、この面においてパラダイス・ランチはラディアンのさらに上を行く性能を備えている。テスト期間の終了も近くなった時、思い通りに動くティップこそこのロッドの最大特徴だと、ジムに伝えた。さまざまなキャストや立ち位置に対応して自在にラインを導くティップを持つパラダイス・ランチは、ラディアンをしのぐ性能だと実感したからだ。

 

Rise On The Fork

 

滑らかなつながり感を持ち、じゅうぶんなパワーがあってスムーズ。これは広いフラットで大型魚のクルージングをねらう場合も、風でプレゼンテーションが狂ってしまいそうなときも、頼りになる特徴だ。年老いたマスはそれぞれ個性を持ち、対処法もケースバイケース。サイドから急角度カーブキャストを繰り出す、オープンウォーターでハイスピードなリーチキャストを決める、下流側から繊細なダイレクト・アップストリームのキャストを落とすなど、場面に応じてベストな釣り方は変わってくる。8月中旬にはジム・バーチとチーフ・アシスタントのテレサ・モンターノがこの地を訪れ、最終テストにつきあってくれた。その3日間で出会ったレインボーたちが最終の審判者。彼らの承認を得られたと皆が納得できた最終日、テレサは私に生産型「セントリック」を手渡してくれた。

 

Jim Bartschi--Theresa Montan Photo

 

考えてみれば、私のロッドラックに立っているラディアンとは10年に近いつきあいである。この信頼できる道具を携えて川に立った日は何百にのぼり、数知れないマスを相手にしてきた。そんな記憶の1つ1つをたどりながら、私はこの旧友に別れを告げた。新セントリックによって、可能性はさらに押し広げられた。アングラーはフライロッドの進化に対し、犠牲を払う必要はない。この4ヶ月間、私のキャスティングはさらに鋭さを備えるようになったが、ヘンリーズフォークでは僅かな性能差が大きな違いを生む。私は残りのシーズン、新たなベストフレンドを手に、川辺をさまようことになる。

 

1st. For The Centric

 

 

RIVER TIP AUG 25

2020.08.26

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まだ日差しは鋭いものの夕暮れが驚くほど早くやってくるようになり、禁漁までの短い秋を楽しもうという方が多いと思います。私もそうです! 秋は大ものの季節、これまで釣り人の目をすり抜けてきた魚、あるいはかつてキャッチされた魚もいっそう賢く大きくなり、私たちを驚かせる出会いをもたらしてくれるでしょう。

 

トラウトハンターのEVOナイロンティペットは、昨年から私もテストと実践で使っていますが、その名のとおり大きな進化を感じさせる性能。飛躍的に向上した縮れにくさ、計算された伸縮性、モッチリとしたノットの結び感など、たいへん気に入っています。

 

さてスバラシイ性能のタックルでも、それを100%引き出す知識は必要です。私の近年のモットーは「自宅でできることは自宅で」。なにも、家でぜんぶ結んでおけというわけではありませんが、イトが切れるなら自宅のシミュレーションで、ないし現場でのノット締め込みで切れたほうが、魚を相手にしてアワセ切れするよりもはるかに良いわけです……。

 

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直線強度とともに、基本結束強度 (Base Knot Strength)も表示 

 

イトは結び合わせると強度の低下は避けられませんが、それを招く大きな要素がノット内の摩擦です。結ぶときではなく、魚が掛かった瞬間の力によってラインがノットの中で動き、熱が出て切れるわけです。その熱を出さないためには、あらかじめきちんと締め込んでおかなければなりません。ノット強度のぎりぎり手前までテンションをかけて、「ゆっくり」「しっかり」締め込みます。

 

○ 締まりきっていないノットは弱い、キレイなノットは強い。

○ ナイロン+フロロなど、異素材の組み合わせ時はとくに注意する。

 

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こんな仕上がりであれば強度は期待できません! 

 

この2つを念頭に置いておくとまず間違いはないんですが、ノットにはいろいろなタイプがあります。ダブル・サージェンス、トリプル・サージェンス、エイトノット、ダブル・エイト、はたまたブラッドノット、電車結び。私は4xより太いものはブラッドノット、それより下はダブルないしトリプル・サージェンスにしますが、個人の好みも大きいですし、何よりも製品間の相性が大きく関係してきますので、一概に方程式はできません。「A」ブランドの5Xリーダーの先に、「B」ブランドの6xティペットを結ぶためにはダブル・サージェンスが安定して強いが、ティペットを「C」ブランドに変えるとトリプル・サージェンスが最強になるというケースはいくらでもあります。ぜひ、ご自分が現場で使おうとしている組み合わせを自宅で試験して、最強のノットタイプや巻き付け数を発見してください(トリプル・サージェンスよりもダブル・サージェンスのほうが強いというケースもよくありますから注意してください)。さあ、しっかりと下準備をして、秋の大物をぜひ手中に!

 

 

東 知憲

スイング&ドライ— 下山日記

2020.07.22

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 北海道もシーズン最盛期を迎えました。今年はコロナウィルスの影響もあり、海外からのお客様が皆無、本州からの釣り人も交通機関の減便で釣りに来るのは困難な状況にありました。そんな中で、普段なかなかご一緒出来なかった地元のお客様や友人と、ハイシーズンに釣りを楽しむ事ができています。

 

 本流をボートで下りながら、ここぞと思うポイントで釣りをするのは、なかなか贅沢な気分になります。時間配分を考えながら、川底の様子や普段渡ることの出来ない対岸の様子を見ながら流れに乗り目的地まで下って行くという感じです。ボートを止めるのは、ある程度の水深があり、流れが早くも遅くもない丁度良いスピードで、大きい岩や障害物があるポイントです。そんなポイントでボートから降りてフライをスイングさせて釣り下る。それの繰り返しがラフトボートの釣りです。「思った以上に水深がなく釣れなかった」「少し流れが早かったから魚が付きにくい」「こんな大きい岩があって良いポイントだった」等、反省や発見をしながらポイントを替えていくのも楽しいものです。

 

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 北海道の盛期と言えばヒゲナガの釣りと言っても過言ではありません。川面や川岸には、沢山のヒゲナガが舞っています。結んだフライは、だいたいヒゲナガウエット。コックデレオンをウイングにして、ヘッドをマドラー仕立てにした最近お気に入りのウエットフライです。私は、どんなフライでも立体的に仕上げることを念頭において作成しています。水流を受けた時に動きを生むためです。イメージどおりフライが完成してフライの動きを確認すれば、あとは魚を掛けるだけ。

 

 

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 フライもイメージですが、釣りをしている時もイメージが大切です。適当に投げて流しているだけではありません。魚の定位しているポイントを想像して、どこに投げてどう流せば、魚がフライを発見して咥えてくれるかを絶えず考えています。スイングの釣りは水面下なので目に見えない部分が多くなります。だからこそイメージどおりのポイントでアタリが来ると、計算通りに魚を釣ったという格別な気分になるのです。これからの本流は、スイングの釣りが楽しめる季節です。是非みなさんも、思い入れのあるフライを作成し、この釣りに没頭して頂ければ幸いです。

 

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ドリーバーデン店主 下山巌

SIMMS & Scott Pro Staff   

 

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