SCOTT CENTRIC(セントリック)シリーズ発売!!

2020.09.23

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★Scott Centric シリーズ発売!!

ファーストアクション・トラウトロッド・シリーズ、Radian(ラディアン)の後継として、素材、テクノロジー、設計、全てを刷新して、さらなる進化を遂げたCentric(セントリック)シリーズのデビューです。

 

詳しい情報はこちらから

http://www.maverick.jp/products/centric/

 

 

旧友との決別

2020.09.23

A Trout Hunter[5]

 

 

 by レネ・ハロップ

 

そのくたびれ方は、一目でわかる。汚れたコルクのグリップは、繰り出してきた何万回ものキャストを物語る。9フィート4番のスコット・ラディアンは、過去8年にわたって私の手の中にあった。世界でもっとも厳しい釣り場の1つとされるヘンリーズフォークで、他のロッドに手を伸ばそうという気はいっさい起こらなかったという事実が、このロッドのすばらしさを物語っている。しかし、円熟の域に達したロッドデザイナーであるジム・バーチが新しいロッドのデザインを行っているという噂があり、試作品が今年の4月に届いた。「パラダイス・ランチ」という開発コードをバットに書き込まれた1本のロッドが、トラウトの盛期に合わせて製作されたのだ。私は4ヶ月以上にわたって、性能面に関するすべての仕様を検証することになった。すばらしいモデルであるラディアンの存在によって、この新製品が超えなければならないハードルは高い。

 

A New Best Friend

 

パラダイス・ランチは多様なハッチ、水の状態、天候などに対応する使い勝手の良さをクリアしていったが、使っているうち、この新設計テーパーがさらなる魅力を秘めていることに私は気がついた。フライフィッシャーはそれぞれ好みがあるものだが、いくつかのフライロッドを使い込み深く理解していることこそ、実際の魚との対峙には大事なことだろう。ヘンリーズフォークの魚は不完全なプレゼンテーションを許容しないので、正確度とコントロールが決定的要因だ。そして、この面においてパラダイス・ランチはラディアンのさらに上を行く性能を備えている。テスト期間の終了も近くなった時、思い通りに動くティップこそこのロッドの最大特徴だと、ジムに伝えた。さまざまなキャストや立ち位置に対応して自在にラインを導くティップを持つパラダイス・ランチは、ラディアンをしのぐ性能だと実感したからだ。

 

Rise On The Fork

 

滑らかなつながり感を持ち、じゅうぶんなパワーがあってスムーズ。これは広いフラットで大型魚のクルージングをねらう場合も、風でプレゼンテーションが狂ってしまいそうなときも、頼りになる特徴だ。年老いたマスはそれぞれ個性を持ち、対処法もケースバイケース。サイドから急角度カーブキャストを繰り出す、オープンウォーターでハイスピードなリーチキャストを決める、下流側から繊細なダイレクト・アップストリームのキャストを落とすなど、場面に応じてベストな釣り方は変わってくる。8月中旬にはジム・バーチとチーフ・アシスタントのテレサ・モンターノがこの地を訪れ、最終テストにつきあってくれた。その3日間で出会ったレインボーたちが最終の審判者。彼らの承認を得られたと皆が納得できた最終日、テレサは私に生産型「セントリック」を手渡してくれた。

 

Jim Bartschi--Theresa Montan Photo

 

考えてみれば、私のロッドラックに立っているラディアンとは10年に近いつきあいである。この信頼できる道具を携えて川に立った日は何百にのぼり、数知れないマスを相手にしてきた。そんな記憶の1つ1つをたどりながら、私はこの旧友に別れを告げた。新セントリックによって、可能性はさらに押し広げられた。アングラーはフライロッドの進化に対し、犠牲を払う必要はない。この4ヶ月間、私のキャスティングはさらに鋭さを備えるようになったが、ヘンリーズフォークでは僅かな性能差が大きな違いを生む。私は残りのシーズン、新たなベストフレンドを手に、川辺をさまようことになる。

 

1st. For The Centric

 

 

RIVER TIP AUG 25

2020.08.26

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まだ日差しは鋭いものの夕暮れが驚くほど早くやってくるようになり、禁漁までの短い秋を楽しもうという方が多いと思います。私もそうです! 秋は大ものの季節、これまで釣り人の目をすり抜けてきた魚、あるいはかつてキャッチされた魚もいっそう賢く大きくなり、私たちを驚かせる出会いをもたらしてくれるでしょう。

 

トラウトハンターのEVOナイロンティペットは、昨年から私もテストと実践で使っていますが、その名のとおり大きな進化を感じさせる性能。飛躍的に向上した縮れにくさ、計算された伸縮性、モッチリとしたノットの結び感など、たいへん気に入っています。

 

さてスバラシイ性能のタックルでも、それを100%引き出す知識は必要です。私の近年のモットーは「自宅でできることは自宅で」。なにも、家でぜんぶ結んでおけというわけではありませんが、イトが切れるなら自宅のシミュレーションで、ないし現場でのノット締め込みで切れたほうが、魚を相手にしてアワセ切れするよりもはるかに良いわけです……。

 

EVO

直線強度とともに、基本結束強度 (Base Knot Strength)も表示 

 

イトは結び合わせると強度の低下は避けられませんが、それを招く大きな要素がノット内の摩擦です。結ぶときではなく、魚が掛かった瞬間の力によってラインがノットの中で動き、熱が出て切れるわけです。その熱を出さないためには、あらかじめきちんと締め込んでおかなければなりません。ノット強度のぎりぎり手前までテンションをかけて、「ゆっくり」「しっかり」締め込みます。

 

○ 締まりきっていないノットは弱い、キレイなノットは強い。

○ ナイロン+フロロなど、異素材の組み合わせ時はとくに注意する。

 

Blood

こんな仕上がりであれば強度は期待できません! 

 

この2つを念頭に置いておくとまず間違いはないんですが、ノットにはいろいろなタイプがあります。ダブル・サージェンス、トリプル・サージェンス、エイトノット、ダブル・エイト、はたまたブラッドノット、電車結び。私は4xより太いものはブラッドノット、それより下はダブルないしトリプル・サージェンスにしますが、個人の好みも大きいですし、何よりも製品間の相性が大きく関係してきますので、一概に方程式はできません。「A」ブランドの5Xリーダーの先に、「B」ブランドの6xティペットを結ぶためにはダブル・サージェンスが安定して強いが、ティペットを「C」ブランドに変えるとトリプル・サージェンスが最強になるというケースはいくらでもあります。ぜひ、ご自分が現場で使おうとしている組み合わせを自宅で試験して、最強のノットタイプや巻き付け数を発見してください(トリプル・サージェンスよりもダブル・サージェンスのほうが強いというケースもよくありますから注意してください)。さあ、しっかりと下準備をして、秋の大物をぜひ手中に!

 

 

東 知憲

Simms プロダクトページ 2020 FALLシーズンへ更新しました!!

2020.08.05

Simms_logo

 

Simmsプロダクトページを2020Fallバージョンへ更新しました。

 

今シーズンは、トラベル関係バック類「GTS」シリーズが新登場。フィッシングギアを含めた携帯品を、効率良く収納・運搬できるよう、システマティックなラインナップになっています。

 

その他には、寒い時期に活躍するプリマロフトを装備したアウターウェア、GORE-TEX製のグローブやビーニー、ハット、キャップなど小物類も充実しています。

スイング&ドライ— 下山日記

2020.07.22

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 北海道もシーズン最盛期を迎えました。今年はコロナウィルスの影響もあり、海外からのお客様が皆無、本州からの釣り人も交通機関の減便で釣りに来るのは困難な状況にありました。そんな中で、普段なかなかご一緒出来なかった地元のお客様や友人と、ハイシーズンに釣りを楽しむ事ができています。

 

 本流をボートで下りながら、ここぞと思うポイントで釣りをするのは、なかなか贅沢な気分になります。時間配分を考えながら、川底の様子や普段渡ることの出来ない対岸の様子を見ながら流れに乗り目的地まで下って行くという感じです。ボートを止めるのは、ある程度の水深があり、流れが早くも遅くもない丁度良いスピードで、大きい岩や障害物があるポイントです。そんなポイントでボートから降りてフライをスイングさせて釣り下る。それの繰り返しがラフトボートの釣りです。「思った以上に水深がなく釣れなかった」「少し流れが早かったから魚が付きにくい」「こんな大きい岩があって良いポイントだった」等、反省や発見をしながらポイントを替えていくのも楽しいものです。

 

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 北海道の盛期と言えばヒゲナガの釣りと言っても過言ではありません。川面や川岸には、沢山のヒゲナガが舞っています。結んだフライは、だいたいヒゲナガウエット。コックデレオンをウイングにして、ヘッドをマドラー仕立てにした最近お気に入りのウエットフライです。私は、どんなフライでも立体的に仕上げることを念頭において作成しています。水流を受けた時に動きを生むためです。イメージどおりフライが完成してフライの動きを確認すれば、あとは魚を掛けるだけ。

 

 

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 フライもイメージですが、釣りをしている時もイメージが大切です。適当に投げて流しているだけではありません。魚の定位しているポイントを想像して、どこに投げてどう流せば、魚がフライを発見して咥えてくれるかを絶えず考えています。スイングの釣りは水面下なので目に見えない部分が多くなります。だからこそイメージどおりのポイントでアタリが来ると、計算通りに魚を釣ったという格別な気分になるのです。これからの本流は、スイングの釣りが楽しめる季節です。是非みなさんも、思い入れのあるフライを作成し、この釣りに没頭して頂ければ幸いです。

 

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ドリーバーデン店主 下山巌

SIMMS & Scott Pro Staff   

 

川辺に欠ける「何か」

2020.07.20

A Trout Hunter[5]

 

 

 by レネ・ハロップ

 

 

ヘンリーズフォークというすばらしい釣り場が往年の姿を取り戻したという事実は、よく知られるようになってきた。数年にわたる干ばつの後、過去4年間は冬にたっぷりと雪が降ったので、川の状況は次第に好転してきた。冬の間の流量が、昆虫の生息量とマスのコンディションに大きく影響を与えるのだ。ハッチは安定し、マスの大きさも数も向上してきた。

地元民もビジターも異口同音に、2019年は近年最高だったと考えた。翌年はさらにすばらしいはずだ、と誰もが期待を高めた。冬の力が弱まる今年の2月、下流部でのすばらしいミッジ・フィッシングが始まり、それは3月のベイティスへと移っていった。ハッチは安定し、魚の数は膨大で、ヘンリーズフォーク核心部においても質の高い釣りが期待できそうだった。しかしそこで、世界中に恐れと不確実性をもたらしたコロナウィルスの蔓延が起こってしまった。

 

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国境は閉じられ、ビジネスは生活に必要な最低限しか許可されないという緊急事態において、フライフィッシングにたずさわる私たちはきわめて静かな夏を予測していた。しかし州政府は規制を緩め、5月こそ人は少なかったが、6月はまったく別の話となった。家に閉じ込められていた人たちが、屋外の環境を求めて川に繰り出してきたのだ。ハッチは下流部のサーモンフライに始まり、予定通りにグリーンドレイク、ブラウンドレイク、グレイドレイクが続いた。1人も感染者を出していないヘンリーズフォークのコミュニティは、サンクチュアリのような役割を果たしていたのだと思う。7月上旬現在、フレモント郡における感染者はわずかに5人。ただし、いつ爆発的な増加が起こってもおかしくない状況であることを私たちは理解している。

 

 

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ヘンリーズフォークがどれだけ混雑してきているかは、ハリマンランチの解禁日である6月15日以降の人の動きでもわかる。通常は、その日から1週間もたつと、駐車場のクルマは減り始めるのだが、今年は7月の声を聞いても満杯だ。見知らぬ人も目立つようになった。ヘンリーズフォークは、ソーシャルディスタンスを保ちながら質の高い釣りができる、最高の釣り場になったようなのだ。運良くも、この時期に釣りができる区間は、ローワー区間も含めると50マイル以上にわたる。

 

 

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世界が混沌に陥った現在も、私にポジティブな気持ちを持ち続けさせてくれるのは、過去5年間で最高のコンディションと言えるこの川と、そこに住む虫、魚たちとの濃密なやりとりだ。群衆を避け、社交的なやりとりにあまり興味のない私にとっては、ある意味いつも通りの生活である。自宅で仕事をするので、人的な接触は自分でコントロールができ、多くの友人と会うこともできる。彼らは大多数がローカル、ないし米国内に住む人たちで、今年ここを釣ることができるだろう。しかし、遠くの人たちはこの旅行制限の影響を強く受けている。日本、英国、北欧、南アフリカなどに住む友たちの中には、地元民と同じくらいこの川を愛する人たちがいる。何十年にもわたってともに時間を過ごしてきた彼らは、もはや私の家族のようなものだ。そんな人たちとともに川岸を歩き、癒やされる水の流れに立ち込むことが許されないのは、なんとも辛い。できうることなら、雪が一年が締めくくるまえに、彼らと川辺で時を過ごしたいものだ。

 

 

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RIVER TIP July 05

2020.07.03

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梅雨空はいつまで続くのかという感じですが、明ければいきなり盛夏ですね。源流が呼んでいるという感じですが、外に出づらい雨模様の日はフライの準備をするにもよい機会。今回は、キャスティングとプレゼンテーション性能に基づく、渓流用フライの仕分けの仕方をご説明しましょう。リクツっぽいのは性格のせいなので、勘弁してください……。

 

日本の渓流では、ティペット部にスラックをつくってドラグフリーで流すという方法論が欠かせないことはもうご承知の通りです。岩井渓一郎さん、里見栄正さんたちがオリジネーターとして確固とした足跡を残され、僕の同時代人としては嶋崎了さんや渋谷直人さんたちが活躍されています。「どれくらいの長さのドリフトを目指すのか?」というのは、釣り場の特徴、魚の気分、また使うタックルや美学によって大きく異なってくるわけですが、私は数十センチではなく1メートルくらいは自然に流せることを前提にタックルを組んでいます。

 

私の渓流での釣り方は「ぜったいにティペット部をターンオーバーさせないで残す」というネガティブ・カーブキャストを前提としたものです。これ以外にもティペット部にスラックを作る方法はいくらでもありますが、私はこれが一番歩留まりが良いので使っています。

 

ネガティブ・カーブキャストにおいて、フライの飛び方は大事です。ごくかんたんに言うと、空中を飛ぶフライにはよい感じの「ブレーキ」が掛かって欲しい。リーダーはフライを行かせようとするけれど、フライが抵抗して前にいかない感じがあれば、サイドキャスト気味で投げるだけで、ティペットがターンしきれないでリーダー全体がU字ないしV字に落ち、自然に流れるという段取り。セミオートマチック・システムです。1回ごとの差は小さくなり安定するので、快適なリズムで釣れる。で、いま梅雨時の家の中でやってもらうことのご提案は、フライの飛び方チェックです。あたりまえのことですが、フライが落ちるのは自分のまえ何メートルも先ですから、正直にいってどれくらいスラックが入っているのか、このフライはエアブレーキが利かないのか、よく掛かるのかわからない。そこで、自宅で検査をしましょう。この時には、大事なことがあります。

 

○ 現場で使える、空気抵抗が小さめのフライを「基準」として決めておく

 

です。私は、ドラッグがかかろうが何だろうがある程度のアピールを失わない、ディアヘア・カディス (DHC) が基準ですが、スタンダードのままではちとターンオーバーしやすいので、ウイングの下にはCDCを仕込んでブレーキをかけています(たとえば向かい風の時などには、CDCなしのほうがちょうど良かったりしますけど)。

 

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 フライボックスのストックの中から6本を選んでみた。中古もあるので不細工ですがご容赦!

 

テストの段取り……まずは自分の位置を決めます(私は床に正座します)。何にも結んでいないこのDHCを力一杯前に放り投げて、その到達距離を10とします。床に、そのまま置いておけばいいでしょう。次に、同じようなフックの、同じサイズの別のフライを、同じく力一杯に投げてみましょう。パラシュートなんかは「7」くらいの位置に落ちるかも知れません。コンパラスタイルに巻いたCDCダンなどは、ぜんぜん前に飛びたがらなくて、「5」くらいのところに落ちるかも知れません。オーバーサイズのハックルを巻いたスパイダーもそれくらいでしょうかね。

 

こうやって、自分の好きな巻き方をした各パターンの「飛びやすさ」をざっくりと理解しておけば、フックサイズやワイヤーの太さを少し変えた時、また風などの外的条件、ハッチする昆虫、流れのタイプなどによって、最適の「ターンしなさ加減」を作り出すことができるのです。ハックルを厚く巻くと、抵抗は増える。ウイングの量を増すと、抵抗は増える。ファインワイヤーのフックに変えると、質量も減るのでフライは飛びにくくなる。ポストがカーフテイルかエアロドライ・ウイングかでも違う。なにをどうすればフライの飛び方がどうなるか、だんだん分かってきます。そうすれば、プレゼンテーションの形もどんどん良くなって、結果魚が釣れるようになる……というわけ。私は最近、TMC112Yなどのファインワイヤーのフックに巻いた定番クイルボディ・パラシュートの「飛ばなさ加減」に、改めて惚れています(写真下のいちばん左)。このあたりの詳細はまたセミナーか何かで、解説したいと思っています!  では今日はこのへんで。

 

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 左側があんまり飛ばないフライ、右に行くに従ってよく飛ぶ。

右から2番目が基準のディアヘア・カディス (DHC) 

 

 

東 知憲

SALTWATER TIP June 15

2020.06.17

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こんにちは皆様、またまたお久しぶりです。なんだかやっと、場面によってはマスク外しても睨まれないような感じになってきましたね。このまま順調に、できるだけ早くあちこち釣りに行けるようになれば……。梅雨空の隙間はもう夏、ソルトウォーターの雰囲気がやっと出て参りました! とはいえ、ワタクシの遠出はぜんぶキャンセル、釣りが許されている地元民はウハウハという情報も漏れ聞こえてきます。しかたないです……。

 

さて、今回「海のティップ」として取り上げたいのは、1つの「べからず」事項です。ソルトの釣りといっても淡水と大きく変わるところはあまりないのですが、最大に違うのが水の腐食作用ですね。カナダあたりの感潮域で釣りをしていると、気温があんまり高くなくてもリールがじんわりと腐食してきたりしますので気をつけないといけない(とくにアルミ地肌のリールなんてそうです)。

 

参照させてもらうのは、海リールの大先達であるシーマスター社の文書です。もはや会社としては存在しませんが、あらゆるリール屋さんが目標としてきた超高性能の製品を作り続けたブランドで、この名前を聞くだけでヨダレをジュル……と出す人もいらっしゃるのではないかと。オーナーで職人のボブ・マックリスチャンは完全主義で、リールの箱には必ず細かなトリセツが入っていました。

 

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その記述で注意したいのが、「リールは決して水に漬けないこと」「高圧噴射などで洗浄しないこと」というところ。世界トップクラスの耐久性を誇ると認められた製品ですら、用心して使えとキャプテン・マックは言っているのです。

 

私もキャプテン・マックや御大レフティー・クレーの注意どおり、リールは絶対に、絶対に海水に浸しません。シーマスターはすべて穴なしで、できるだけ異物の侵入を避けようという意思が感じられましたが、本体側のフレームに穴が開いている製品などはさらに用心して、ロッドを振らないときはポーチをつけたままにしておきます。本体の細かなパーツに染みこんだ海水は、なかなか除去できず、真水にちょっと浸したくらいでは取れない場合が多いようです。さらに、海水にはたいてい微細な砂や泥が混ざっていますので、パーツの摩耗を招いてしまうことになります。不用意に沈水させた後に回して「じゃりッ」と言わせてしまうと、アルマイト層が傷ついてかんたんに腐食してしまう可能性もあります。

 

私は友達から「大げさだね〜」と言われながらも、使うときはポーチを外す、タックルと置くときはポーチを付けるという作業を繰り返します。ロッドはある程度の消耗品ですけれども、リールは使い手の気配りしだいで、大きく寿命が変わってきますし、選び抜いた気に入っている道具だからこそ、大事に使いたいですから。私の実感ですが、最新のリールの中で沈水に100%対応しているものはほんとうに数えるほどしかありません。現在の製品の基本性能は昔と比較にならないほどですから、すこし注意するだけで、一生トラブルフリーで使えます。

 

 では、海を楽しみましょう!

 

東 知憲

斑点曼荼羅倶楽部 Presents — Quill Wing de Leon vol. 4

2020.05.13

コック・デ・レオンのルースター・クイルを活用する 基礎編 (2)

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私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、ウイングにこだわるの巻 

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まずは参考資料のご紹介

 

 野暮丸出しですけれど……ここでいよいよクイルウイングを巻き止める作業。それであの……なんだか安易な宣伝みたいで、すごく野暮でカッコ悪いのですが、赤面しきりで開き直って言います……クイルウイングの巻き止め方は、コレ見て参考にしていただけますと、もう微に入り細に入り、これでもかってくらい、上から横から下から左右のアングルから、おまけにクイルを挟んでスレッドを巻く指のなかまで、こってり解説させていただいております。やはり、クイルウイング巻き止めのノウハウやコツは、感覚に頼る部分が多いだけに、言葉よりも映像のほうがはるかに伝わります。ここでは、このDVDでは取り上げなかったウイング以外のコツや、この撮影当時にはまだ思い付いていなかった、そのほかの最新情報をご紹介させてくださいネ。

 

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ウイングを巻き留めたあとの処理

 

 さて、ここからが今回の見どころ。クイルウイングを留め、余りをカットしてヘッドを巻く作業。ウェットフライを巻きはじめると、誰もがかならず痛感する「ウエットフライあるある経験」。巻きはじめた当初、いちばんの壁のようにおもわれたクイルウイングの巻き留め作業は、挑戦してみれば思いのほか簡単にクリア。ウイングを見映え良くキレイに付けられてヤレ嬉しやと、クイルの余りのファイバーを切り、ヘッドを巻いて完成させてみようとすると……余分をカットした瞬間、ウイングがグシャッとひしゃげる。

 ウイングを巻き止め、ヘッドを作ろうとスレッドを巻いたら、ウイングがどんどん潰れていく。カッコ良く小さくまとめたいのに、ウイングをしっかり立てようとすると、どうしても不細工なでっかいヘッドになってしまう。そんなこんなの難関をどうにか乗り越えて、ようやくヘッドセメントを塗布しようとしたら、さっきまで真っ直ぐ付いていたウイングが、知らないうちに左右どちらかに曲がっている……などなど。とにかく、それまでの作業を台無しにしてしまうトラブルの宝庫、魔の作業工程。コレなんとかしようじゃないですか。しかも簡単確実に。

 

 ウイングをしっかり巻き止めたら、クイルのファイバーの余りをすぐカットしないで、この余りの根元付近の両側に、ボドキンで瞬間接着剤をすこしだけ塗布。すると、瞬間接着剤がウイングの余りのファイバー内部に浸透して、ちょうどウイングを巻き止めたスレッドの下部分までを硬化させることができる。ここで大切な注意。ウイングに塗布するのでは断じてなく、余りのほうにほんの少量だけ染み込ませること。ウイングに瞬間接着剤が染み込むと、フライが水中で回転してしまうだけでなく、すぐにファイバーが割れてしまい、復旧させることができなくなります。

 

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フライを上から見てみる

 

 瞬間接着剤が完全に硬化するまでのあいだ、かならずフライを上から見ておくのも大切。このように、ウイングがフックシャンクの真上にまっすぐ巻き止められていることが理想でもあり基本中の基本。ビシッとまっすぐ巻き止めたウイングの舵取りバランス効果で、水中で不自然な揺れや回転を起こすことなく、揺るがない姿勢を保ちながら自然にスムーズに流れるウエットフライ。これこそ、スイング中のドラッグがかかった状態でも良好なフッキングをもたらせてくれるおおきな要因ではなかろうか。また、レオンのサドルハックルで巻いたスロートハックルのファイバーがフライの左右両側にもひろがって、フックの下側半分を扇状に覆うように巻き止められているところにも、ぜひ注目を。

 正しい位置に正確に巻き止めたクイルウイングのウエットフライに、このような体裁でハックリングしたロングファイバーなレオンのハックル。この組み合わせのフライが、ひとたび水流のなかでスイングすると……そんなスロートハックルのファイバーのうごきというか揺れというか震え方、もうたまらんデ……。流れのなかでフライ本体はビターッと不動のバランス姿勢でスイング、その両側でマダラ模様のサドルハックルのファイバーが水流の緩急に敏感に反応しながら常にブルブルユラユラと揺れ震えている。ゾクゾクッとくるほど魅惑的なうごき。なんていうかもう、マスに喰われるために存在しているような生き物に変身しておりますゾ。

 

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ウイングの余りをカットする

 

 コック・デ・レオンのサドルハックルの振動の誘惑によろめくあまり、話がだいぶ逸れてしまったが、ヘッド処理の工程に軌道修正。瞬間接着剤をクイルの余りの根元部分に塗布し、硬化がすすんだ時点で、写真のようにカミソリをダウンアイのフックアイにあてがう。そして、その角度のまま上方向に切るというよりも、カミソリを左右どちらかに滑らせるようにスーッとうごかす。すると、いとも簡単に余りのファイバーを根元ギリギリからバッサリ切り落とすことができる。この方法だと、カットの振動や余計なうごきで意図せずウイングがズレたりすることもまったくない。ウイングもろとも切ってしまいそうで、心情的にウイングの方向からフライ前方に向けての逆方向からカットしたくなるけれど、慣れてしまえばダウンアイのフックだとコチラのほうが失敗がなく、かつ簡単。

 

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カットし終わった状態

 

 余りのファイバーの半端な切り残しや微細な突起などいっさいない、スムーズな切り口。しかも肝心なのは、カットした余りのクイルに瞬間接着剤を染み込ませていることで、スレッドの表面とスレッドで巻き止めた部分のクイルにも余りのファイバーを伝って適量の瞬間接着剤が浸透して硬化している。それでいてウイングへの悪影響はまったくない。これくらい小さくまとめた極小のヘッドにも関わらず、ウイングが抜けたり曲がったりすることもなく、耐久性も申し分ない。

 ウエットフライを極小のヘッドに仕上げると、そのぶん抵抗が軽減されてフライの着水と同時に速やかに水面下にフライを沈めるために有利、という機能面もあるけれど、なによりも美しくカッコ良い。

 

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そして完成

 

 白のスレッドを黒い油性マーカーで着色してヘッドを巻き、その後ヘッドセメントを塗布して完成。

 

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オマケ版その1 ヴァリエイション

 

 極細シルバー・オーバルティンセルとミラージュ・フラッシャブーとともに、赤いフラッシャブーも捩じり込んでボディを巻いた、ギラリと輝くブラッディ・ヴァージョン。血塗られたマーチブラウン。

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オマケ版その2 リビング応用編

 

 トラディショナルなスタンダード・パターンのリビングに、この「捩じりティンセル・ボディ」を転用するのもたいへんおススメ。意外にも、どのようなティンセル・ボディのスタンダード・パターンにつかっても古典的なフライのイメージを損なうことなく、ほんのりモダンな雰囲気を醸し出しつつ、なかなかイイ感じに巻けますよ。アレコレお試しあれ。

 

 

 

備前 貢

B’s Fly Works

斑点曼荼羅倶楽部 Presents — Quill Wing de Leon vol. 3

2020.05.10

コック・デ・レオンのルースター・クイルを活用する 基礎編 (1)

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私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、スロートハックルにこだわるの巻 

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追憶のシルバーマーチブラウン

 

 思い起こせば、あれよというまに17年まえ。はじめてのホワイティング・ファーム訪問のときの思い出のひとコマ。サドルハックルやネックハックルなどの商品のためにスキニングされたあと、そのほかの使われない部位は破棄されて焼却処理されるまえの、バラバラになったコック・デ・レオンのご遺体安置所にて合掌したときのこと。血まみれのまま、山のように積みあげられた何百もの切り刻まれたレオンのご遺体。異臭が漂い、まるで生ゴミのようだ。その光景を見て、この道楽の罪深さの無常と懺悔の念ひとしお。一方で、込みあげる感謝の念。そこでふと、あるものが目にとまり、無言でしゃがみこんでしまったワタシ。「ビゼンさん、どしたの?」怪訝な顔つきで訝しむ、同行者およびスタッフの面々。

 ここはあえて不遜な表現を許してください。無造作に積みあげられた生ゴミのなかから、切り捨てられたヘン・レオンの両翼をムンズと掴みあげて、お宝を発見した海賊のごとく、それを捧げ持って頭上高々と掲げるや、いきなり声高々に、「これ、欲しい!これ、ください!」「な、な、な、なんで?」あのときの、皆さんのドン引きした表情が忘れられない。

 そうしていただいたレオンの翼を自宅に大切に持ち帰り、時差ぼけクラクラの帰宅早々、逸る気持ちを抑えられず、翼からセカンダリー・クイルを取り出した。その夜、フライフィッシング数百年の歴史のなかで、これまでまだ誰も試したことがなかったであろうコック・デ・レオンのセカンダリー・クイルを、はじめてクイルウイングとして巻いてみたときの感動と興奮が忘れられない。

 コック・デ・レオンならではのグッと胸に響く、美しく鮮明なゴマダラ模様がウエットフライのクイルウイングとして活き活きと立ちあがったあの瞬間。ご遺体安置所で「これはひょっとしたらひょっとして……」ピピーンとタイイング心に響いてきた淡い予感が、確信に満ち満ちてかわった瞬間だった……これはまちがいなく、スタンダード・ウエットフライにつかわれている伝統のクイル素材群に匹敵する、最高のクイルウイング素材になる! 奥底から心の琴線が震えました、あの日あの夜のフライタイイング。そのときに巻いた処女作が、伝統の銘鉤シルバー・マーチブラウンのウイングにレオンのクイルをつかったウエットフライだったのです。

 

 今もなお、レオンのウイングを巻き止めたシルバー・マーチブラウン風を愛用しているワタシ。いわば、コック・デ・レオンのクイル素材とワタシの長い付き合いは、常にこのフライと共にあったと言っても過言ではありません。

 本州で暮らしていた当時は、もっぱら里川や本流のアマゴやヤマメやイワナを狙って試行錯誤を繰り返す日々。そして13年まえに北海道に移住してからは、野性のニジマス、アメマスやオショロコマなどなどを相手に実践と改良を重ねてきた、レオンのクイル・ウイングをつかうシルバー・マーチブラウン。当初は従来のシルバー・マーチブラウンにつかわれていたヘンフェザントのウイングを、ただレオンのクイルに変更しただけだったアレンジ版は、すこしづつ変化しながら「私家版シルバー・マーチブラウン」へと進化していきました。「コレ釣れるよ!」とビックリマーク付きで自信をもってお勧めできるウェットフライのひとつ。現在のカタチはコレです。

 

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テイルとスロートハックル

につかうのは、なんといってもコレ。レオンのサドルハックル各色。

 

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ボディ材

 ボディ用につかうのは、極細のシルバー・オーバルティンセルとオパール・カラーのミラージュ的フラッシャブー。これをそれぞれ二つ折りにしてボディ末端に巻き止める。ちなみに、つかっているスレッドはベネッキ・ウルトラストロングスレッド12/0の白。フックはTMC9300 の8番。

 

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ボディを巻く

 で、このボディ材をダビングツイスターもしくはハックル・プライヤーに摘まんで、捩じりながらボディに巻いていく。このとき、ボディ末端の巻きはじめ1~2回転は撚りをかけず、ティンセルとフラッシャブーをそのまま同時に巻いて、そこから捩じって巻いていくとボディ末端に軽くテーパーがかかってスムーズでキレイなボディになる。

 

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ボディを巻き止める

 捩じって巻いた素材の撚りをここでほどいてフラットにして巻き止めてカット。その際、素材の余りを根元ギリギリにカットしてしまうのではなく、ほんの少しだけ残してカットする。その後、その余りの部分を爪先でボディに押しつけるようにして圧縮する。

 

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ボディ完成

 するとアラおもしろい。巻き止めたスレッド跡がまったく見えないスッキリしたボディが出来あがる。このようにティンセルとフラッシャブーを捩じって同時に巻くことで、ボディ全体が微細にデコボコしたボディになる。陽の光を受けると、複雑かつ微妙に乱反射して、ときにはまるでマダラ模様の暗色の羽根が後光に包まれているようにも見える(この見え方が最大のミソ)いかにもな生命感を感じさせる。まるで羽化途上のカディス・ピューパやガガンボ、あるいはヒラタカゲロウなどのイマージャーが外殻と中身のあいだにまとう空気膜による反射、いわゆるイマージングガスを誇張表現したような印象。耐久性も申し分ない。従来のシルバー・マーチブラウンのように、使用中にリビングがズレたり、ほどけたりしてフライが壊れることがない。

 

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スロートハックルを巻き止める

 ダブリングしたレオンのサドルハックルを、フックシャンクに巻き止める。巻き止めた位置にご注目を……ココすごく大事。ボディ材を巻き止めたところではなく、フックのアイの直後に巻き止めている。あとでスレッドでハックルを巻き込んで、スロートハックルの位置と角度を調整するためと、ウイングを巻き止めやすくするための細工。

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スロートハックルを巻き止める(その2)

 この位置にスロートハックルを巻き止めたら、余りのほうを折り返してスレッドで3回転ほどしっかり巻いておく。こうして止めると、ハックリングする際に抜けることがない。ソフトハックル・パターンなど特に有効なテク。また、もちろんパートリッジなどのパラッと巻くハックル素材全般に最適。

 

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ハックリング

巻き止めた位置でレオンのサドルを2~3回転ハックリング。

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スロートハックル処理

 従来通りの方法のように、フックシャンク上側のハックルを後方に押し下げるようにスロートハックル化させるのではなく、シャンク上側のハックルはカットするか指先でむしってしまう。これもすごいコツ。上方向に突き出ているハックルをスレッドで巻き込んで下側に押し下げると、量が多くなり過ぎるだけでなく、左右の形状バランスが不自然になり、フライ自体のバランスも崩れやすくなる傾向にある。なので、フックシャンク下半分のハックルだけにしておいて、そのままスレッドで2~3回転ほど後方に巻き込みながら、スレッドの位置をハックリングしたストークの後ろ側に移動させつつ、スロートハックルを安定させる。この、ストーク後方とボディを巻き止めた位置の中間のところの溝というか凹みがウイングを立てるためのスイートスポットになる。

 

 また、コック・デ・レオンのサドルは、ストークからファイバーの生えている生え際のところが最もハリが弱く、水流の抵抗に負けやすい。なので、この数ミリにも満たないファイバーの根元部分をスレッドでしっかり巻き込んでおくだけで、ハックルに適度なハリとコシがつく。なので、こうしておくと流れの抵抗を受けてのハックルの振動や耐久性がまったく変わってくる。(どんどん続きます)

 

 

備前 貢

B’s Fly Works

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