ヘンリーズフォーク2019(その2)

2020.01.15

A Trout Hunter[5]

 

 

 by レネ・ハロップ

 

他の川と同じく、ヘンリーズフォークも変わり続けます。豊かなハッチとライズするマスで有名な釣り場ですが、各種ドレイクを中心とする有名ハッチは釣り人を集めます。#12(ときにそれ以上)サイズを持つこれらのフライは6月から7月上旬を中心に羽化。今年の夏は、冬の間の豊かな水量と水生昆虫の量を反映し、14インチから16インチまでの魚がほんとうにたくさんライズしました。それらの若い健康な魚たちは、ここ数年でまた成長し、すばらしい楽しみを提供してくれるでしょう。ヘンリーズフォークの黄金時代が戻ってきたことを、誰もが喜んでいます。

 

Baetis RainbowSM

 

 

7月中旬以降、羽化する種類はどんどん小型になってゆきます。カディス、さらにはフライングアントやビートルに関してもいえることです。まだ夏の間は#14を使えるチャンスもあり、視認性とフックのホールディングという両面に関してありがたいことです。しかし秋風が吹いて水位がだんだん下がり、フライを見慣れた魚が出始めると、キャスティングや釣りの面で高いスキルが必要になってくるでしょう。さらに、水は透明になり、藻は茂ってドリフトをさらに困難にします。しかし、なんといってもシーズン後半にアングラーが少なくなるのは、フライサイズの小型化の影響です。

 

Harriman Ranchのコピー

 

 

10月に入ると、夏の混み具合はうそのようになりました。まったく人がいないわけではないのですが、岸に立っているのは数少ない手練れだけ。そのような人たちは、ちょっと天気が悪いくらいではホテルに帰ったりしないし、風にキャストの精度を落とされることもありません。世界各地から集まる、ベスト・オブ・ザ・ベストといえるでしょう。

スモールフライの世界に遊ぶには、視認性の低い(あるいはまったく見えることが期待できない)フライを受け入れることです。掛かったマスを手にすることができる確率も概して下がるのですが、正しいテクニックとタックルを選べば、#20以下のフックでも分が悪くなることはありません。

 

Rise To A Baetis Hatch

 

 

秋から冬にかけての釣りでもっとも大事なのは何よりも、キャスティングポジションの取り方です。視認性の問題は、マスに気配を察知されず、かつショートキャストで勝負できるような正しいポジション取りによって、だいたいは解決できるもの。ダウンストリームにキャストすることをもくろむと、キャストの距離は伸び、小さなフライは見えなくなります。ダイレクトなアップストリーム・キャストを含め、キャストは上流側に計画するべきでしょう。流れが複雑にヨレている場合でも、ショートキャストならナチュラルに流れる可能性は増すのです。ちょっとしたドラッグも嫌い、狭いレーンに固執するようになった賢いマスが相手なら、なおさらのこと。この時期、ハッチは時として濃密になり、フライは何十もの本物にまぎれてさらに見づらくなるので、ロングキャストは当てずっぽうの釣りにしかなりません。

 

(「その3」に続きます) 

 

 

SCOTT GS803/4 Japan Special 発売!!

2020.01.10

gs773type1

 

★SCOTT G803/4 Japan Special 完成!!

 

1975年、スコット創業者ハリー・ウイルソン氏が、多くのフライフィッシャーを驚かす画期的なグラファイト・ロッド、G904を発表しました。その後GシリーズはG2シリーズに進化し、そして現在は新たなGシリーズとして、世界中のスコットファンに愛用されています。

 

ジャパンスペシャルは、ハリーからロッドデザイン哲学を継承している、ジム・バーチ氏によって、初代G803/3JSが製作されました。その後2代目となるG2モデルからは、4ピースに変更されて、今でも多くの日本の皆様にご愛用頂いています。

 

3代目Gシリーズ、コードネームGSの開発当初から、ジム・バーチはジャパンスペシャルの開発も視野に入れていましたが、日本の渓魚ヤマメやアマゴ、岩魚達を直接釣ることが、アメリカではできず、7本目のプロトタイプの完成と共に来日し、完成にこぎ着けました。伝統のGシリーズのジャパンスペシャルのアクションを更に進化させ、アキュラシー性能、小刻みな引きに対応するしなやかさ、そして少ないフォルスキャストでドライフライを乾かすアクションなど、完成度の高い仕上がりになっています。

 

GS 803/4 JS    8フィート/#3 4ピース、グリップエンドから約30センチのところに「尺」メジャーが書かれています。小売価格 ¥98,000(本体価格)

 

gs803js_01

gs803js_02

 

SCOTT SECTORシリーズ & ジャパンスペシャル JS180/5発売!!

2019.10.08

sector_fourpiece

 

SCOTT SECTOR(セクター)シリーズ

メリディアンの後継機種となるソルトウォーター・シリーズ、セクターが発表されました。デザイナー、ジム・バーチ氏が新素材、新パーツなど様々な要素を取り入れて、速射性能、パワー、そしてバランスなど、素晴らしいロッドであったメリディアンを大きく超えるロッド群を完成させました。

キーとなる新素材ですが「カーボンウェブ」と呼ばれるランダムな方向にカーボン繊維を走らせているシートです。これは、一般的なカーボンシートの弱い部分を克服する構造にできます。ストリッピングガイドには、REC社が特許を取得した「セリコイル・ガイド」を採用しています。ニッケルチタン素材の形状記憶合金ですが、今までは不可能とされていた、ジルコニアのリングをインサートする事に成功したものです。リールシートも、メリディアン用のものを手直しし、タイプⅢのミルスペックアルマイト加工を施されています

 

Model スペック
S8107 8′ 10″ 7wt 2pc
S8108 8′ 10″ 8wt 2pc
S8109 8′ 10″ 9wt 2pc
S81010 8′ 10″ 10wt 2pc
S81011 8′ 10″ 11wt 2pc
S81012 8′ 10″ 12wt 2pc
S8464 8’4″6wt 4pc
S8484 8’4″8wt 4pc
S84104 8’4″10wt 4pc
S84133 8′ 4″ 13wt 3pc
S84153 8’4″15wt 3pc
S9064 9’0″ 6wt 4pc
S9074 9’0″ 7wt 4pc
S9084 9’0″ 8wt 4pc
S9094 9’0″ 9wt 4pc
S90104 9’0″ 10wt 4pc
S90114 9’0″ 11wt 4pc
S90124 9’0″ 12wt 4pc

 

小売価格は¥115,000(本体価格)、入荷は11月から順次の予定です。

 

 

 

kamui_2

 

SCOTTジャパンスペシャルJS180/5 KAMUI発売

SCOTT社のプロスタッフでもある、北海道の千葉 貴彦氏の監修による、日本むけスペシャルロッド。18フィートと、ある意味極め付けの長さのこのロッドは、大河でイトウを狙うことをメインにデザインされましたが、ショアからのソルトウォーターや、止水域での釣りで、大きなフライをより遠くへプレゼンテーションが必要なシチュエーションで活躍しそうです。18フィートながら一日中キャスティングが苦にならない重量とバランス、また魚を掛けてからのスムーズなベンディングカーブは、まさにSCOTTというロッドに仕上がっています。ロッドのサブネームは「カムイ」。日本、しいては北の大地にふさわしい名をつけさせていただきました。

 

ロッドは18フィート ダブルハンド 5ピース。その性質上、ライン番手の表示はしないこととなりました。

ラインは、スペイ/スカジット・キャストで使う場合、ヘッドのトータルが1,000グレイン前後。オーバーヘッドキャストで使用の場合、ヘッドのトータル620グレイン前後が目安となります。

 

小売価格は¥194,000(本体価格)、入荷は10月から順次の予定です。この商品は限定生産で、なくなり次第終了となります。

 

SIMMS プロダクトページを2019 FALLシーズンへ更新しました

2019.10.08

Simms_logo

 

SIMMS 商品ページを2019 FALLバージョンへ更新しました。

 

ヘンリーズフォーク2019(その1)

2019.09.11

A Trout Hunter[5]

 

 

 by レネ・ハロップ

 

 

米国西部を流れる川の例に漏れず、ヘンリーズフォークも21世紀に入って厳しい状況を経験してきました。世紀の変わり目にここを釣った人は、安定したハッチと大きなマスの記憶をお持ちでしょう。これは、その前の数年間にたっぷりと雪が降り、川に水がたっぷりと流れた結果です。1998年から2003年は、ビジターのほぼすべての人に、質の高い釣りが提供されたと思う。しかし、それから長い凋落の時代が始まりました。

 

降水量が減ると、川の生産性もそれに連動します。釣れなくなったヘンリーズフォークは、アングラーを誘うこともできなくなりました。天候パターンにようやく好転の兆しが見え始めたのは2017年。10年間を超える低調の時代は、終わったかのように思えます。とくに2018年から2019年の冬はすばらしいものでした。ダムは、冬の間に降った雪が溶けた水をたっぷりとたたえ始め、冬の間にたっぷりと水が流れたことで、マスの生息数があきらかにリバウンドしてきました。

 

01Lower Henry's Fork  

 

今年の5月に実施された学術調査により、アイランドパーク・ダムからラストチャンスまでの区間において、1マイルあたりのマスの生息数は5000尾以上であることがあきらかになりました。驚くべきことに、前年と比較して2000尾も上積みされたのです。この朗報とともに、ヘンリーズフォークの今年の釣りが始まりました。

 

02Brown of The Lower Fork--Zach Wheeler

 

しかし、シーズン初頭は天候も不順で、川がほんとうのポテンシャルを見せ始めたのは5月も末になってから。例年にない寒さと雨が続き、各種昆虫のハッチも通常より数週間遅れてしまいました。マスのライズが見られないので、フライフィッシャーたちは「いったいどうなっているのか、あの調査結果は間違いだったのではないか」と小声で話し合ったものですが、ようやく5月末、#16のマーチブラウンが、ずっと小さなベイティスに混じって出始め、マスも上ずりはじめました。私たちが待ち望んでいた質の釣りが、ようやく手の届くところにやってきました。普通は5月中旬に出始める超大型ストーンフライであるサーモンフライも、結局3週間ほど遅れましたが、待った甲斐があったものでした。下流部から始まったこのハッチは、巨大ブラウンとレインボーを熱狂させ、1週間以上も継続。そしてそれは6月15日、ハリマンランチのオープンの日にさえ、上流部でビッグ・ドライフライのチャンスを提供してくれたのです。

 

03Last Chance Sunset

 

(「その2」に続きます) 

 

 

ウイードとの戦い

2019.07.14

A Trout Hunter[5]

 

春から夏へのスプリングクリーク戦略 (その2)

 

 by レネ・ハロップ

 

 

藻の動きが水表の流れの複雑さを倍増させているなら、ティペットは私が標準と考える90センチからさらに伸ばさなければならないでしょう。正確度はずっと落ちてしまいますが、着水した瞬間からフライが水面を走り回らないようにするためには、最長150センチのティペットを使ってスラックを入れるしか手がない場合も確かにあるのです。しかし普通のシチュエーションにおいては、バウンスキャストないしチェックキャストというオーバーパワー・タイプの技術を使い、短めのリーダーを跳ね返して作るスラックでじゅうぶんなドリフトができるでしょう。

 

Drifting Weed(Light)

 

水底から生えた藻が生み出す問題に加え、切れ藻も時にフライフィッシャーを悩ませます。シーズンの後半、藻が伸びきってしまった時期の午後には、水面に出た部分がちぎれて流れ始めることがあります。マスはこの切れ藻をいやがったりしないようですが、フライフィッシャーにとってはちょっとした悪夢。キャストごとにフックに藻のかけらが刺さり、プレゼンテーションを台なしにしてしまうのです。この状況に対応するには、アップストリーム・プレゼンテーションだけに限定することです。ピックアップのときにフライが水面を斜めに走らなければ、藻を拾ってしまう可能性も大幅に減ります。その他のアングルからキャストを試みても、いらいらが溜まるだけでしょう。

 

Extracted From The Weed (light)

 

ヘンリーズフォークの大型のマスはすべて、うまく藻を活用することを知っているようです。フッキングされたとわかったら、一目散に厚いウイードの中に突っ込もうとします。運が大きく作用しますが、対応策がないわけではありません。魚はだいたい上流に向かって突っ込んでいきますから、ロッドを魚の深さに沈め、真後ろから注意深くやさしく引くことで魚を引きずり出すことができる場合もあります。

 

Test For 6X (Light)

 

スプリングクリークにおいては細いティペットが大前提ですが、そんな繊細な釣りをする時には日本の技術力に感謝します。トラウトハンターのフロロカーボン・ティペットは、まさに先進素材、私は大型魚に対しても自信を持って6xを使います。この手の釣りに失敗はつきものですが、いくつもの難題をクリアして大型のマスを手にできたときの満足感は格別です。簡単ではないことを受け入れ、技術を磨いて挑戦をいとわない人には、必ずご褒美を用意してくれるのが自然です。

 

 

ウイードとの戦い

2019.07.02

A Trout Hunter[5]

 

春から夏へのスプリングクリーク戦略 (その1)

 

 by レネ・ハロップ

 

 

スプリングクリークのマスにとって、水中に茂る藻はとても重要な存在です。小規模な川からヘンリーズフォークのような大河川にいたるまで、藻は水生昆虫の家となり、マスには隠れ家も提供するのです。健全な釣り場には欠かせない藻のことを敵であるかのようにいうのは、きっと間違っているのでしょう。しかし、ただでさえ複雑なマス釣りに、さらなる困難を加えてくるのがそれであるということも事実なのです。

 

釣りに対する藻の影響は、まだ完全に伸びきらない春からすでに始まっています。ただでさえ複雑な水流が、揺れる藻の動きにさらに影響され、ドライフライの宿敵であるドラッグを簡単に作り出してしまうのです。ヘンリーズフォークをはじめとする有名スプリングクリークを釣り続けてきた私は、フラストレーション体験の中から、いくつかのコツを見つけ出したと思います。今回の記事では、それをご教示しましょう。

 

Over A Weed Bed(Light)

 

高い正確度が求められる私のホームグラウンドでは、戻りの早いティップを備えた9フィート4番のロッドがスタンダード。私はスコットのラディアンを使っていますが、あらゆる角度からのキャストを可能にし、空中でラインの整形操作を行う時間的余裕を生み出してくれます。しばしば14フィートを超えるリーダーを操作しなければなりませんので、ラインのテーパーも重要、個人的にはエアフロのエリート・トラウトを気に入って使っています。

 

水中の藻の影響を受けた複雑な流れを釣るには、長いドラグフリー・ドリフトを行おうなど考えないことです。魚はだいたい水面近くに浮いていますから許容レーンの幅はとても狭くなっているでしょう。フライの着水点から魚まで、60センチほどのナチュラルドリフトで勝負しようという気持ちで釣るのが、もっとも良い結果を生んでくれます。

 

Sometimes You Win(Light)

 

 

季節が進み、生育した藻が水面に露出するようになると、正確度はさらに大事になってきます。大型のマスは、露出した藻の間にできたスペースに身を潜めるようになるでしょう。そんな場合はアップストリーム・キャストの独壇場です。長く流そうと思ってはいけません。魚の真下のポジションが取れない場合はなおさらのことです。

 

Tight Cast(Light)

 

露出した藻の際に身を潜め、ぎりぎりの位置で昆虫を吸い込んでいるようなマスは例外なくセレクティブで大型です。手前側にウイードベッドがない場合はいろいろな立ち位置が考えられるでしょうが、いずれにせよ藻から数センチの位置にフライを流す正確度が求められます。魚に気づかれないよう、プレゼンテーションはアップ&アクロスが私の標準、それにリーチキャストないしカーブキャストを採用します。フライはウイードのエッジにそっと触れるように落ち、(うっかりすると見落としてしまうような)大物のライズまで数十センチ流れてゆく、というのがシナリオです。マスがフライを吸い込んだときの感動は、ずっとあなたの心に焼き付いていることでしょう。

 

SIMMS NEWS

2019.06.24

シムス&VEIL CAMO コラボレーション秘話(続)

 

Platform

ウィル・フラックがパーミットを追う。《ベリーズ》

 

 

シムス:魚に特化したカモフラージュ柄を開発してと依頼したとき、どう思われました?

スキナー:ははは。じつに笑えましたよ。だって、そんなものが必要だとは思ってもみなかったですからね。

 

シムス:それはなぜです?

スキナー:水中にいる魚が、外の世界をどう見ているかなんて知りませんでしたから。考えたこともありませんでしたね。振り返ってみれば、お恥ずかしいほど無知でした。

 

シムス:ピカーン!っていうひらめきの瞬間はあったんですか?

スキナー:いや、実はありませんでしたよ。調査を進めていくと、フィッシュカモを開発することは、まったく理にかなったことだとわかりました。魚がどれだけ優れた視覚を持ってるか、想像もしていなかったです。私たちよりも色覚は優れています。データによると過敏とも言えるレベルだそうです。それをどのように処理しているかは別の疑問で、行動面への反映に関してはいろんな理論があります。とはいえ、フィッシュカモを開発するにあたっては、推測ではなくデータを活用しました。

 

シムス:今はフィッシュカモの提唱者となられたわけですが、まずはその中の「クラウドカモ」の開発プロセスを教えてください。デザインは面倒でしたか?

スキナー:取りかかったとき、私は以前よりずっと知識があって、オープンマインドでしたよ。主な対象魚はボーンフィッシュ、ターポンそしてパーミットですが、研究データを見ると彼らの色覚と視野はマスのそれと似ていることがわかりました。すでに行った調査を活用できますので、心強いものでした。次の設問は「オーケー、じゃあ曇りの時、晴れの時、雨の時などに魚には何が見えるだろう?」です。

 

シムス:ソルト用のクラウドカモと淡水用リバーカモの開発で、違いは何でしたか?

スキナー:環境ですね。川で釣りをするとき、あなたは木やボサ、岩、丘などに比較的近い位置にいます。しかし海のフラットで釣りをしていると、たぶん空に囲まれていることになるでしょう。考えてみれば、空というのは変化に乏しいものですから、逆に難しいテーマでしたね。

 

シムス:ベリーズで、私たちの友人のウィル・フラックと釣ったのは、初期デザインのテストだったんでしょう? どうでした?

スキナー:最初に設計したカモパターンを、実際のフラットにに持ち出して検証できて安心しました。調査内容と実際の環境に、さほどのずれがなかったからです。ウィルは初回デザインを気に入ってくれましたが、色のアドバイスなど微調整をしてくれました。彼のコメントは、現場を見た私の意向とまったく一致していました。釣りから帰ってきて、ロッジで色を調整し、彼に見せると一発で気に入ってくれましたよ。それにしても、彼はまさにフラットの忍者ですね!

 

シムス:まったくその通り! ウィルとは、テストとチューニングを繰り返したんですか?

スキナー:はい。ベリーズに行く前から、コンセプトはかなりしっかりしていたんですが、最終的にはパターンをほんの少しゆがませました。水面は光をねじ曲げますが、あらかじめ歪ませたパターンはとても有効だと思います。水中から見ると、アングラーのはっきりとした全体像は見えませんがだいたいの形はわかります。魚は、フィッシュウインドウを通じて外の世界を覗くわけですが、かなりのディテールが見えていることが多いでしょう。魚がスプークしてしまうのは、そういう時です。私は、波などによって光が散らされ、ゆがめられる効果を考慮に入れ、人の形を悟られずに魚を混乱させるパターンを開発したかったのです。

 

シムス:パーミットの話をしましょう。「パーミットなんて神格化しちゃだめだ」という人たちがいます。オレンジのフライラインを使い、赤いシャツを着て、鼻先に重いクラブフライをたたき込むような人たち。それでも釣れるときは釣れるんですよ。クラウドカモの開発にあたっていろんな調査をされたわけですが、魚の認識力を理解した後では、驚きじゃないですか?

スキナー:いやほんとうにそうです。最初に申し上げたように、フィッシュカモ開発の話を聞いたとき、私は懐疑的でした。そんなもの、必要あるのかなと思いました。開発を進めるにつれて、派手な服を着てパーミットを釣る人がいることも知りましたが、クラウドカモのターゲットは違う種類の釣りです。場所によっては空色のジャンプスーツを着て鹿をどんどん撃つこともできますが、それは私たちには関係がない。テクニカルで洗練されたなゲームを想定しています。使っている用具が決定的に重要な、難しいチャレンジです。

 

シムス:パーミットは、クラウドカモのシャツを着たアングラーのほうが、赤いシャツを着たアングラーよりも見つけにくい?

スキナー:はい。いろいろな研究結果を見てみるとすぐわかります。私が最初に抱いた、フィッシュカモの開発に関するさまざまな疑念は、すぐに消えてしまいました。魚たちがどれだけ警戒心が強いか、誰でも知っているでしょう。水の世界とは彼らの世界。あなたが自分の家の間取りを知っているように、彼らも自分たちの世界をよく知っているのです。

 

シムス:納得です。では、VEIL CAMOの特徴を一言でまとめると?

スキナー:ステルス性が決定的な要因となる難しいシチュエーションにおいて、ハンターや釣り人の存在を悟られにくくする最先端のカモフラージュ・パターンということになりますかね。(了)

 

 

SIMMS NEWS

2019.06.16

シムス&VEIL CAMO コラボレーション秘話

 

スクリーンショット-2019-06-10-11.31.48

 

ボーンフィッシュやパーミット・ジャンキーにフラットの釣りのどこが好きか聞くと、だいたい誰でも答えは同じです。「まるでハンティングなんだよ」。ハンティングとフラットの釣りは、たしかに似通っています。山に分け入ってエルク鹿に迫るときも、テイリングするパーミットに忍び寄るときも、相手に気配を知られないことが大前提です。いにしえの狩人たちは確かに、あらゆるカモフラージュ手段を採用して環境に溶け込もうとしていました。魚に忍び寄るときにも、その考えを採用するのが理にかなっていると考えた私たちは、迷彩のエキスパートであるVeil Camo社と提携。同社の創業者であるジョー・スキナーとのインタビューは、彼の情熱、会社の理念を教えてくれるとともに、最新のソルトウォーター迷彩である「クラウドカモ」の開発秘話となっています。

 

//////

 

シムス:迷彩パターンへの興味は、いつどのようにして始まったのですか?

スキナー:軍に在籍していた2008年に意識し始めました。しかしハンティングやアウトドアを始めたのは2010年でしたから、そのあたりと言っておくのが妥当でしょうね。当時の米軍はグレイとグリーンを使った地味なデジタルカモ柄を使っていました。しかし、砂利穴でしか実用的でないようなこのパターンをなぜ軍が採用したのか、理解に苦しみました。そんな迷彩服を着させられた体験が、私のこだわりにつながったんだと思いますね。

 

シムス:VEIL CAMOのそもそものアイディアは、ハンター用のカモフラージュ柄と同じなんですか?

スキナー:そうです。私はハンティングを始めるとすぐに、いちばん困難だと思われるボウハンティングに惹かれました。その世界にはカモ柄を作っている会社が山ほどあるんですが、どれも用途が限られています。「ミミクリーパターン」と呼ばれ、実際の枝や葉っぱなどを模しています。背景にぴったりはまれば素晴らしいんですが、私はもっと汎用性のあるものが欲しいと思いました。

 

シムス:より高品質な製品を作ろうという決意をした瞬間は、いつでしたか?

スキナー:樹上のスタンドに身を潜ませて、獲物が下を通るのを待っている時でした。暇なのであたりを見回し、自然環境に溶けこむデザインとはどんなものだろうと考え始めたのです。「このアイディアに基づいたカモ柄を作っている会社なんてあるだろうか? 私にできるだろうか? まずは楽しみでやってみるか……」。それをきっかけに、私はコンピューターを使い、数学的コンセプトをデザインに取り入れ始めました。簡単にいうと、自然界に存在する数学法則に基づいてパターンを作っていったのです。

 

シムス:VEIL CAMOの創業はいつですか?

スキナー:その後すぐですよ。さらにいくつかパターンを開発し、私の考えとカモパターンが市場にインパクトを与える自信が持てた2012年に創業しました。

 

シムス:パターンの開発プロセスはどのようなものですか?

スキナー:VEIL CAMOの特徴は、写真のようなリアリティではなく、自然環境のできあがり方をベースにしています。動物の目を欺く、オーガニックなカモフラージュ柄です。

 

シムス:VEIL CAMOのユニークさを説明してください。

スキナー:私たちのカモフラージュ・パターンは、数多くの要素をうまく組み合わせてパワフルな性能を達成しているのです。私たちは、4方面からアプローチします。基本的なカモフラージュ理論、自然界に存在する数学的法則、ターゲット環境を想定したカラーパレット、そしてターゲット動物の視覚に関する科学的データです。

 

シムス:なるほど。1つ1つかみ砕いてくれませんか?

スキナー:いいですよ。私たちに関係のあるカモフラージュ理論の要素には、「分断色」「対称性と形状の認識」「マイクロ・ディスラプション」「マクロ・ディスラプション」などがあります。分断色とは、カラーパレットとリンクしたテクスチャーを使い、周辺環境に溶け込むものです。動物は、対称性と形状にとても敏感ですからね。マイクロ・ディスラプションとは、分断色のカテゴリーに入るもので、つまりはターゲット環境の視覚的傾向に基づくテクスチャーの分断と考えてください。最後にマクロ・ディスラプションとは、隠蔽するべき(人間の)姿の対称性を捕らえにくくしてしまうアイディアです。

 

シムス:次に、おっかない部分です。数学とカモフラージュの間には、どういった関係があるのですか?

スキナー:ははは! 確かに数学はなじみにくいものですが、私は数学者でもなんでもありません。自然界にある形状とカオスに立脚する数学理論を適用しているだけです。フラクタル幾何とカオス理論ですね。フラクタルとは、自己増殖してゆく相似図形です。木の育ち方、草の生え方などには相似性がありますが、決して完璧なものではありません。完璧さを達成させない、何らかの要素が必ず入ってきます。このことはもう1つの重要な概念であるカオス理論によって説明されます。これらによって得られた異なる数式を活用することで、ゆがみを持ったパターンが得られます。自己増殖的なフラクタル図形をカオス理論によって分断させることで、自然界の風景によく似てくるのです。

 

シムス:色はどうですか?

スキナー:ユーザー環境を分析し、色を選びます。地面にいる、木に登る、川辺にいる、立ち込んでいるなど。またターゲット動物の視覚も考慮します。環境の中でユーザーがどう見えるかという情報を活用するのです。

 

シムス:では、難しく思える要素、すなわち動物の視覚と認知に関してですが、どのようにしてそんなデータを入手されるのですか?

スキナー:動物学者と契約し、対象動物に関して公表されているデータを集めてもらいました。眼球の分析から始まって動物の環境認識、そして行動面の特徴にまで及ぶものです。それによって、デザインと判断のよりどころとなる動物の色覚や視力などが科学的に把握できるわけです。(続く)

 

A002_C065_11033N_001.R3D.11_49_27_13.Still002-copy

 

 

スイング&ドライ— 下山日記

2019.06.08

Shimoyama_Profile

 

北海道は、河川の雪代も収まってきてシーズンインです。湖では春蝉も鳴き始め、大型のドライフライを楽しめる季節になります。仕事の合間を縫って、良い釣果も聞き始めた支笏湖に通っています。

 

数日前も、この時期に1本は釣っておきたいと思い早朝の霧が立ち込む中、ロッドを手に湖畔に向かいました。無風の凪状態。湖の釣りでは、なかなか厳しい条件ですが、可能性はあると信じて秘策のセミフライを採用。このフライは、シースールータイプでボディが空洞になっており、どんな状況でも浮いています。フロータントがいらないので、スペイキャストでの釣りにはとても有効。アンカーを入れる際、フライは必ず着水しますが、吸水しないので浮力は維持されます。これは友人の息子さんが私のために手間暇掛けて作ってくれたフライなので、どうしても良い魚を釣りたいと考えていましたが、6時間振り続けるも水面は炸裂せず。

 

IMG_2765

 

魚は釣れなくともフライのポテンシャルの高さを実感できたので、良い釣行でした。これからがドライフライの本格的なシーズンですので、諦めないで再挑戦しようと思います。

 

河川もこれからがベストシーズンを迎えます。本流域はまだ雪代も残っている状態ですが、支流域は水も落ち着きはじめ、ライズも見られるようになりました。今シーズン始めてのシングルハンドの釣りは、SCOTT社のGS885を試そうと実釣に持ち出しました。川の状態はまずまずですが水温が若干低かったので、ニンフを結んで川に入りました。

 

IMG_7880

 

両岸に木々が生い茂り、バックが取れないので重たいニンフをロールキャストでポイントまで投げる事にしました。ミディアムファーストのアクションが操作を容易にし、思ったポイントまでフライが到達する確率があがりました。技術ももちろんですが、道具もやはり大切だとあらためて納得です。

 

ファーストポイントでは、ナチュラルにニンフを流すも反応なし。しかし何となく気配があったので、今度は上流に立ち位置を変えてからニンフを入れました。するとニンフが水面に向け浮上する時に反応したのか、流し終わりに手元に強烈なあたりがあり、ロッドが絞りこまれました。川の流れも重く不安でしたが、何度となく走られるも、ロッドが満月にしなり、バラす事なくキャッチすることができました。SCOTTのロッドは魚がばれにくいとの友人の言葉が頭をよぎりました。魚のパワーをロッド全体で吸収してくれるのでしょう。今後もこのロッドとは、長い付き合いになりそうです。

 

DSC01082

 

 

ドリーバーデン店主 下山巌

SIMMS & Scott Pro Staff   

 

  • 全ての新着情報
  • News
  • Products
  • Column