切り札は 24番

2022.08.01

Toshi_port

 

 

ジリジリ陽射しな真夏の午後には、釣る気も失せる。そんな8月20日午後2時。ちょうど日陰になっていたバス停脇に車を止め、道路から下の川を見た。そこには、釣りというよりもザブンと泳ぎたいようなプール。どうせイブニングまでは・・・と眺めていると、ややっ? まさかのライズ発見。

 

浮いてきた魚影が水面に触れ、スッと沈んだのだ。急いで双眼鏡を向けてみるとパーマークが見えた。しかしライズレーン上流あたりを注目しても、ドリフターらしきは何も見つからない。つまり、ここからは見えないほど小さな虫らしいと気がついた。ハッチがほとんどないような季節の日中でも、フラット系の水面にディンプルライズがポツポツ出るのはよくあること・・・だが、釣るのは難しい。さて、どうするかな?

 

_1020088

 

「夏」「晴れ」「日中」「小さい」などのキーワードから思いつくのは、まずアントである。日本全国で最も普通に大量生息しているトビイロケアリなどは、働きアリの体長が3㎜位。ウイングドアントになっても3.5㎜位という極小ドリフターで、結婚飛行は夏の朝。他には、デプテラ、コカゲロウ スペント、ミッジスペントなども状況によっては考えられる。

 

川に出れば、いつも未知なる現象に出会うもの。わけのわからない謎のディンプルライズには、極小フライをキャストするというのが刈田の切札。決め手になりそうなフライあれこれをタイイングするのだが、問題はフックで、強度と重さのバランスが気になる。刈田の場合は、TMC206BLの24番を使っている。極小フライなんてタイイングも実釣も無理だよという同輩アングラーも多いが、やっかいそうに感じるタイイングもヴェインファイバーを使えばスイスイだし、難しいライズが釣れる快感は大変な魅力だ。

 

_1355084

 

ウイングドアント24番。ドリフターが、ウイングのないアントでも問題ない。アントは、晴れた天気の良い日ほど多くドリフターになってくる。VEEVUS 16/0スレッド(以下同じ)でアブドメンやソラックスを作り、ヘッドセメントで補強。ウイングは、ヴェインファイバーのシナモン。ウイングは、長めにカットするとソフト着水も半沈みドリフトもイージーになる

 

_1355133

 

デプテラ24番。水辺には、いつでも飛び回っているハエ目アダルトあれこれのイメージにマッチするフライ。アブドメンは、ターキーバイオットのトライコ色。ソラックスは、ピーコックハールをスレッドに巻き付けて使用。ウイングは、ヴェインファイバーのシナモン

 

_1355143

 

ミッジ24番。デプテラよりもスリム体型のミッジは、午後の後半からイブニングに多く水辺に降りてくる。アブドメンはスレッドで巻き、フラッシャー系の細いテープを巻いてヘッドセメントで固定してある。ソラックスは、そのままスレッドでシルエットを作る。ウイングは、ヴェインファイバーのシナモン

 

_1355129

 

コカゲロウ スペント24番。晴れた日に多く流下するコカゲロウ スペントの極小サイズ。小型種ほど多く流下するところが目のつけどころ。ボディはスレッドで褐色から赤褐色に水性顔料マーカーで染める。アブドメンには、XXファインのシルバーワイヤでセグメントを表現してある。以下に、重要なウイングの取り付け方を説明しよう。

 

k8006

24番フックにヴェインファイバーウイングをセットする手順。作例はコカゲロウ スペント

 

k8007

 

ヴェインファイバーを小さなフライに使うときには、元の束(上)から、

はみ出しているファイバーを指と爪で削ぎ落とし、全体をスリムにして使う(下)

 

k8008

 

フックアイの根本に、ヴェインファイバーを載せてクロスにスレッドをかける

 

k8009

 

左右のファイバーをそろえてフックベンド方向に引いておき、

その根本にスレッドを6~7回巻き重ねる

 

k8010

 

 根本へスレッドを入れて、ウイングをバックウイング形状に開くようにセットする。

スレッドワークの回転が逆の方は、手前から向こうへスレッドをかけることになる

 

k8011

 

ウイングをスレッドワークで開かせた状態。

ウイングを体長より長めにカットして、ファイバーをほぐし、リアルな印象に整えれば完成

 

 

私はこの手のフライに視認性を求めていない。見えないという課題には、ライズする魚の動きで対応する。24番フライのメリットの1つは食い込みが良いことで、瞬間的なフックセットの必要はなく、ロッドティップをスッと持ち上げるだけの聞きアワセでググッと乗る。また、極小フライはライズを釣るのに大事な「ソフト着水」が実現し、その希薄な存在感から「見切られにくく」、ライバルフライフィッシャーが使いにくいから「スレてない」というメリットもある。お試しください!

 

刈田敏三

  • 全ての新着情報
  • News
  • Products
  • Column