CASTING TIP May 10

2022.05.10

bigeye

 

目を逸らしてターゲットを定める

 

海の浅場、フラットを泳ぐ魚を狙ってキャストする釣りは、フライフィッシングの中でも一種特殊な「種目」だと思います。ライズの釣りと違ってリピートはほとんどないからワンチャンス、かつ釣り人に与えられた時間枠も短い(ないしごく短い)ことがほとんど。そのことを知っているからこそ、手が震える、膝が笑う。

 

オートバイのコーナリングでよく使われる表現に「バイクは視線をやった先に向かう」というものがありますが、フライフィッシングでも似たことがいえます。つまり「フライは視線の先に飛ぶ」。つまり、ある程度フライキャスティングの技術が身についているなら、魚の頭に落とすことは難しくない。しかし、です。フライを落とす場所は必ずしも頭の真上が良いとは限りません。魚種と状況によって、フライを置く位置は大きく変わってくるのです。

 

ベタ凪のなか、30センチくらいの水深でクルージングとテイリングを繰り返すボーンフィッシュは、頭の上にフライを落とすと、どれだけそっと置いてもジェット速度で逃げていくことでしょう。進行方向(ボーンフィッシュは比較的安定した直線軌道を取ることが多いです)の2メートルほど先にフライをあらかじめ起き、近寄ってきたところでちょんと動かす、というのが効果的。スレた黒鯛なども、上から落ちてくるものに対してはきわめて用心深いものですからアプローチとしては同じ。フラットで釣れる魚として最大級、フロリダキーズのターポンは、泳いでくる魚の「ボート1艘ぶん」前に落としておくことも普通です。

 

たとえばこんな魚の姿が、波間に見えたとします。左側が頭、ゆっくり遊泳中。フライを進行方向に置かなければいけませんが、見逃してはいけないと魚から目をそらさずにフォルスキャストしてシュートすると、だいたいは魚の目のまえにフライが落ちます。何十年も生きて百戦錬磨の巨大魚は、上から落ちてくるもの=危険物という共通認識があるので、着水を見られたフライは、ほぼ無視されてしまいます……

 

tarpon 

 

ではアングラーは何をするべきか? 魚から、いったん目をそらさなければなりません。魚種の傾向、出会った魚の気分、外的要因などを考え、どこにフライを落とすべきか瞬時に判断し、そこにターゲットのリングを設定します。そのリングを見つめたまま、できるだけクイックにフォルスキャストをして、シュートしてやるのです。

 

tarpon_target

 

本来この赤いリングはもっと左側に欲しいところなんですが、写真から外れてしまいますので、いまは魚体 1.5 本ぶんのところに便宜上置きました。このように、泳いできたターポンの場合はまずターゲットを投げ越し、着水と同時にリトリーブして距離を合わせ、魚の到着を待つことが多いものです。ただし、眠っているように表層に浮かぶターポンの場合(朝に多い)は、まさに頭の上を叩くようなプレゼンテーションが必要。このターゲット設定は、ガイドさんがいるならガイドさんに聞くのがいちばん早道です。リーダーやティペットの存在にきわめて敏感な魚種もいますので、そんな場合は決して投げ越さず、魚の動線よりもショート気味のキャストで勝負することになるのです。

 

fight

 

 

変わり続けるシチュエーションに合わせる柔軟性を持って、楽しく釣りをしてください! では、Tight Loops!

 

東 知憲

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