刈田敏三のライズシアター(卯月)

2022.03.31

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ホンモノから学ぶ 

 

 

埼玉県荒川は、3月の解禁からずっと水が少なくて、ライズもなかった。4回通ったのにシロハラのダンさえ一度も見ていない。24日、ナミヒラタのハッチをやっと体験。ライズに向かい、フライを選ぶ瞬間はいつもドキドキする。急ぎながらもあれこれ迷い、タイイングへの後悔も発生するような複雑な時間。それがたまらなく、いい感じ。フライを結ぶだけでワクワクなんだが、マグレチックに釣れても、あまりうれしくない。狙い通りに釣るため、ライズ現場で「これなら」と自信を持てるようなフライが欲しいのだが・・・それは、いつか釣れたことのあるフライ? 有名パターン? 誰かが釣ったらしいと聞いたフライ? でもせっかくフライフィッシングをやるなら、まずホンモノを探してみる・・・昆虫採集だな。

 

目の細かいランディングネットを使って、流れの水面にドリフターを探す。1分でもやってみれば、何かが見つかったりする。ダンなどを見つけたとしても、最初は種類を同定することにこだわらず、まずサイズをみる。それから、表や裏というか背面やまたひっくり返してその腹面を観察。その色合いや濃度が違っているのに気づいたりする。つまり、同種のダンであっても腹面浮きと背面浮きとでヤマメから見たダンの色調は違い、成長の個体差によりサイズさえ一定ではないことに気づく。ライズ現場で発見したドリフターこそがマッチフライを教えてくれるのである。

 

ライズ対策で私が重要だと思うのは、フライを単一に大量生産しないこと。体色の濃いのや淡いの、サイズが小さめのタイプなどのバリエーションを作りたい。そしてこれが肝心……ライザーを釣ることができたら、ヒットフライこそが究極的宝物。二度と使わずに釣行データとともに保存して欲しい。今回は、ドリフターと実際に釣って保存してある、刈田のヒットフライコレクションからいくつか紹介しよう。ちょっと長くなってしまうが、私もシーズンインでハイなのだ。

 

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ライズ現場では、誰に聞くよりまず自分の足元を見る。そこに、ヒントがある。

 

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ネットでキャッチしたばかりのオオマダラカゲロウ ダン。このアブドメン斑紋の色合いや濃度は個体によって様々。だから、絶対的にマッチするワンパターンのヒットフライなどはあり得ない。

 

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オオマダラカゲロウ ダンの背面。斑紋は腹面よりも濃い傾向、これも全てのダンが同じにはならない。

 

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5月23日オオマダラカゲロウ ハッチ現場でのヒットフライ!

 

オオマダラダントラップト #10

スレッド・・・ダンビル70 ベイジュ

アブドメン・・・ターキーバイオット ダークタン

ソラックス・・・ヘアーズイア

ウイング・・・ヴェインファイバー ミディアムダン シナモン

 

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釣れたフライは、このようにラベルをつけて保存。釣った時の状況はパソコンのデータベースに記録する。

 

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ハッチできなかったシロハラコカゲロウ。難易度の高いライザーを釣るヒントとしては、フライパターンにハッチ失敗のイメージを加えることで良い結果が出ることが多い。わかりやすい例としては、ボディに絡みついたシャック、成長不全で短いウイング、囚われて沈みかかっている体など。

 

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4月27日シロハラコカゲロウ ハッチ現場でのヒットフライ。ダンのアブドメンにシャックをつけてある。

 

シロハラコカゲロウ  キャプティブダン #16

スレッド・・・ダンビル70 ベイジュ

シャック・・・ヴェインファイバー ダークシャック

シャック2・・・ヘアーズイア

アブドメン・・・ターキーバイオット ヘンドリクソン

ソラックス・・・ヘアーズイア

ウイング・・・ヴェインファイバー  ダークダン

インジケーター・・・ヴェインファイバー パーシモン

 

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シロハラコカゲロウ スペントのドリフター。シロハラは、午前中から昼にかけて平瀬の川底へ潜って石の裏に産卵を行う。産卵後のスペントは、昼ごろから午後にかけて水中から水面直下のドリフターとなる。パラシュートタイプのフライが有効、ボディが水面直下かさらに深めに位置するようにフライデザインする。

 

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5月28日のヒットフライは、シロハラの水中産卵後のスペントドリフターにマッチするもの。このタイプは、日中であっても水面下の「サブライザー」を釣ることができる、高信頼のスペシャルフライ。

 

シロハラコカゲロウ スペント#16

 スレッド・・・ベネッキ ウルトラファイン オリーブグレイ

アブドメン・・・ターキーバイオット ラスティスピナー

ソラックス・・・ヘアーズイア

ハックル・・・ホワイティング ドライフライハックル

ポスト・・・ヴェインファイバー パーシモン

 

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7月7日のヒットフライは、ちょっと裏ワザ系。流心ボトムハッチのヒラタカゲロウ系では、ハッチがあるとしても種を察知するのは限りなく難しい。このフライは、その難題を解決するために考えた。特徴は、ボディを半分以上ニンフに隠して、種としての特徴を見えなくしてあること。ニンフの部分だったら種類を問わずに濃色でいけるのだ。少し見えているダンのソラックスは淡色。ハッチの一瞬だけは、どの種であってもダンの体は淡色なので、共通のフレッシュさを表現できる。この濃淡の対比で、シャックから抜けだそうとして力尽きたスティルボーンだとの錯覚を期待している。わかりやすくいうと、ハッチしている種類を誤魔化して釣るのが目的のフライデザイン。サイズを変えてタイイングしておけば、あれこれのヒラタハッチに対応できる。

 

ヒラタスティルボーン #14

スレッド・・・ベネッキ ウルトラファイン オリーブグレイ

ニンフボディ・・・ターキーバイオット トライコ

背面シャック・・・ヴェインファイバー ダークシャック

ボディシャック・・・ヘアーズイア

ソラックス・・・ヘアーズイア(淡色)

ウイング・・・ヴェインファイバー ミディアムダン

 

 

水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

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