刈田敏三のライズシアター(如月)

2022.02.03

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長い付き合いの重要種

 

ふと、昔のフライが気になりノートをめくった。1977年の4月8日12時40分。長野県南端の売木川で見つけたライズにクリーム色14番のソフトハックルフライを投げ、アマゴを釣ったとある。・・・そうだった。その頃、ピーコックを使ったコーチマン系のフライを何度も試した。世間や外国で有名なそのフライは、ヤマメが出てもフッキングが悪く不満だった。そもそもコーチマンは、春に河原で見かける水生昆虫とはまるで似ていない。

 

水生昆虫に関する書籍としては、昭和37年に「水生昆虫学」という本が出た。けれどもそこに収録されたコカゲロウ関係は、シロハラとフタバコカゲロウの2種だけ。それなのに、渓流に生息するガガンボとしてはウスバガガンボが紹介されていた。幼虫は渓流の石表面に絹糸で膜のような巣を作っている。実際、川底を見ればすぐ納得。長野の川では、ちょっとした石でも百以上の巣があった。生息は高密度で、渓流にめっちゃいる重要種じゃないか。結局、私にとって最も長い付き合いの水生昆虫はウスバガガンボだ。

 

 

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1977年のウスバボディデザインは、それからも20年以上も活躍した。もっと釣れるかな・・・と工夫したフライパターンを試すのも、また面白いところ。イマージャー、スティルボーン、トラップトなど、ずいぶん長い間ウスバのフライをタイイングしてきた。この虫はダイレクトハッチだから、その時々のライズステージには微妙な変異がある。またレッグが長すぎるゆえに失敗もやたらに多いという、気の毒なキャラでもある。一体どうしてその長さが必要なのか聞いてみたい。

 

あれから40年以上が過ぎ、水面で釣る時には、ハックルを薄く長くのネオパラシュート仕様が定番化した。ボディには、シルクを使ってUVレジンでコーティング。昆虫ならではのテクスチャーや色彩反射を意識している。

 

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スレッドを下巻きして、ヴェインファイバーでポストを立てる。根元を約2.5㎜スレッドで巻き上げ、ファイバーを矢印のようにむしり取ったハックルをセットする。
ハックルストークの根元は、下に少し出してカット

 

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下に出たストークは、直角に曲げてスレッドで巻きとめ、抜け防止とする。ここで、スレッドはハーフヒッチなどして止めてカット。ポストの根元はヘッドセメントを塗って補強しておく

 

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ボディ用のシルク糸をフックに留めて数回巻いた後、糸のヨリが消えるようにボビンを回転しながらボディに巻きつけ、ゴールドワイヤも巻き押さえてセットする。ボディのシルエットが出来たらハーフヒッチしてカット。また新たにスレッドを掛け、ボディにセグメントを巻き作ったゴールドワイヤを止めてからフィニッシュしてカット。この後、マーカーでソラックス辺りを少し染めてから UVレジンでボディをコーティング、光硬化処理をする

 

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次はハックル。ここからはフックを倒してタイイングすると、作業がスムーズになる。ポストに新しくスレッドを掛けておいて、ハックルをポストに巻く

 

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ここからは慎重に・・・…暴れず垂直になるよう2回転巻いてからスレッドで押さえ、残りをカット。スレッドを数回巻き重ねて、ハックルの下面が「水平」になるように調整して出来上がり。ハックルは、ファイバーがストレートに長くて張りがあれば2回転、多くても3回転以内でセットするのがネオパラシュートの極意。

 

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このパターンは「ハックルが見えないほど薄い」を狙っている、ネオパラパターンは、ソフトな着水、そしてしなやかにハックルを意識させないドリフトで、ボディは水面下・・・だからよく釣れる。

 

フック・・・TMC206BL #16
スレッド・・・BENECCHI’S UF ペールイエロー
ボディ・・・シルクミシン糸50番 クリーム色COL42
セグメント・・・ゴールドワイヤ XXFINE
ハックル・・・ホワイティング ヒーバート ドライフライ ハックル
ポスト・・・ヴェインファイバー パーシモン
マーカー・・・水性顔料 NEOPIKO SAND

 

 

水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

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