もっと倒していいんです!
ファイナルキャスト症候群 ……とくに遠投時に頻発。フォルスキャストでうまくループが作れていたのに、最後のシュートで乱れ、リーダーが絡んだり思い通りに飛ばなかったり。クラスに来られる生徒さんの間でも、わりとよく見かけます。いちばん大事なプレゼンテーションで失敗してしまうと、ほんとうにいらいらしますよね。今回はその直し方をアドバイスしてみましょう!
ファイナルキャスト……フォワードでは大きく振り込みますが、開始時のロッド位置も大事!
簡単に言うと、「シュートの前には、がばっと倒しておきましょう」。これだけ覚えてもらってもいいです。
よいループを投げるには、空中を動くロッドティップ(曲がったものの先っちょ)をうまく制御し、できるだけまっすぐな軌跡を描かせることが大事という基本の考えは、広く浸透してきた感があります。ロッドの曲がりに影響する要素は、いくつかあります。フライフィッシングをやっている人なら、以下の2つは簡単に思い浮かぶことでしょう。
①ロッド自体の硬さ
②ティップから出しているラインの長さ
しかし1つ忘れがちな要素が
③キャスターによる力の入れかた
なんです。おんなじ長さのラインを同じロッドで投げたとしても、そっとキャストした場合と、ぐいっと力をいれた場合は、ロッドの曲がりが変わってきます。
あまり力を入れないフォルスキャストは、おそらくロッドの先端近くを使っているわけです。それに続いてパワフルな入力で最後にシュートをする場合、力を入れたことでロッドはミッドからバットまで大きく曲がり込みます。沈むティップに、そのままの高さを維持させてストップに至るためには、何よりもまず、ロッドの振り角を広く調整すること。フォワードストロークでロッドをより大きく傾けてフィニッシュするのは難しくはなく、おそらく皆さんがやっていることでしょうが、それでは足りない場合、テイリングが起こってしまうんです。
たとえばシューティングヘッドを使った湖や海での釣りの場合など、力を入れる分量が劇的に変わるキャストの場合、フォルスキャストでのバックストップをしてループを作ったら、続いてロッドを思い切って後ろに倒し、続く大きな入力=大きなロッドの曲がりに備えておくという作業が必要になるわけです。グンっと力を入れる前には、事前準備としてぐいっとロッドを倒しておかないと、動作の後半でロッドティップが浮き上がり、ループもそれに連れて行かれてしまいますよ!
フォルスキャストは必要充分なパワーでチョイチョイっとやっておいて、シュートの前にはじゅうぶんロッドを傾けておいてからフォワードでパワーを込める。ただし、ロッドをドリフトで倒し込むのは、ストップでバックループを作ってからのことですよ! そうしないとループが広くなりすぎてしまいます。
では、Tight Loops! オフシーズンの練習も、がんばってください!
東 知憲