天塩川の初夏スイング — WildなLife

2021.06.02

Chiba_port

 

 

私のメインフィールド、天塩川はとても特殊な釣り場です。川幅は広く、魚は必ずしも多いわけではありませんが、きちんと釣りを組み立てていくと必ず報われる。ニジマスとアメマス、イトウが主な対象魚ですが、今回はニジマスの初夏の釣りに関して、私のメソッドと考え方をお教えしましょうか。

 

私は、フライをキャストしてスイングさせる釣りにこだわっていますが、ニジマスはスティールヘッドやアトランティック・サーモンなどの魚とは行動が大きく違います。生殖活動をすべてに優先させるようギヤが入った遡上魚ではなく、基本的には川に居着いている魚なので、その行動は摂餌がメイン。6月になると天塩のニジマスは水生昆虫をよく捕食するようになり、ライズすら見せます。そんな魚をスイングで釣るためには、水面近くでウエットフライないし小型のチューブフライを使うのが向いています。

 

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ラインはエアフロのD/X ヘッドに10フィートのポリリーダー+ティペットを付けますから、実質上50フィートというミッドベリーに近いシューティングヘッドと考えることもできます。通常のスカンジナビアン・ヘッドやスカジット・ヘッドよりも長いのでキャスティングのテクニックはより高いものが求められますが、あまりランニングラインをたぐり込まずに投げられますのでテンポが良く、効率はずっと上がります。

 

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私がやっているこの釣りは、時合いの頂点にいる魚しか相手にしていません。時合いというのは、水温、水量、気圧、光量、その他のさまざまな要因が影響してきますが、そのベストな時合いの中でも、スイングされているフライに反応するのは一部の魚でしかないのです。最高の効率を求めるならば、インジケーターをつけてニンフを流したり、シンキングラインでリトリーブしてやれば良いのはわかっていますが、それでも私はスイングの釣りにこだわりたい。リトリーブの釣りは休憩がなく、釣れないとほんとうに辛いのですが、スイングの釣りは違います。キャストしてラインの形を整え、スイングに入れば、回りを見回したり環境を楽しむ余裕も出てきます。フライが真下まで泳ぎ切ったら、またリズミカルにキャストを繰り返すわけです。10人並んでも、ローテーションを組んでまったく問題なく釣りができます。

 

神奈川生まれながら、北海道に長く住んだある人が「天塩川って、最後にたどりつく釣り場だね……」と言っていました。1日に何回か来るであろう「ズーン」というアタリを心から楽しむことができれば、あなたはスイングのとりこになってしまうでしょう。昔と比べると、何が何でも魚を引っ張り出してやろうという野武士的な釣り人は減ってきたようで、この周辺では大人な釣りのカルチャーが生まれつつある気がします。これだけ釣ったぞ、という承認欲求や競争心に基づく釣りから、究極の満足感を求める自分中心の釣りへ、意識が動きつつある感じですし、この川をスイングで釣りたいと思う人が増えるのは大歓迎です。私個人としては、歯磨きと同じように日常的に、ストレスを感じることなく釣りができるすばらしいフィールドなんです。ぜひあなたも、一度。

 

 

Wataru_sakana

 

Wild Life 店主 千葉 貴彦

SIMMS & Scott Pro Staff

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