刈田敏三のライズシアター(皐月)

2021.05.03

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ミドリとイエロー  

渓谷は、すっかり新緑となり、フジの花が鮮やかに咲き始めていた。景色も良いが、フジが咲けばモンカゲロウやオオマダラのハッチが来る。4月27日11時50分、荒川は快晴。それでもモンカゲロウのシャックが次々と流下・・・とそのシャックに紛れるように来たのは、ミドリ色をしたダン。この小さなメイフライはマダラカゲロウの仲間だが、フライフィッシングの話題としては最もニューフェイス系で、ちょっと前のフライフィッシングの手引書には掲載されていないほど。それなのに、春から晩秋までハッチが続き……いやハッチだけでなく、ゾロッと集団で来るスペントが驚きのライズシーンを引き起こすスーパードリフターになる。だから今やフライフィッシングのメイフライ代表種といっても良いぐらいのポジションになっている。また生息量が多いこともずば抜けていて、ライズを意識するフライフィッシャーには価値が大きい。さて、これは誰でしょう? 

 

 

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そうそう、初夏といえばミドリカワゲラのハッチシーズンでもある。アメリカなどではこの近縁種を「イエローサリー」と見たままに呼ぶけれども、日本ではなぜか「ミドリ」になってしまっている。このミドリは山地渓流にいて、初夏に陸上羽化でアダルトになる。陸上羽化というと「ふ〜ん」と安く見られがちではあるが、このミドリは、水際でハッチをして岩盤沿いの流れにポトリと落ちるという生態のキャラクター。なにせハッチに時間がかかる宿命で、ウイングをメイフライのように立てたままウロウロした挙句、初夏のヒュンという川風に吹かれて落水するのである。なお、ミドリのハッチは9時から12時頃に多い。だから、ミドリのハッチシーズンになるとヤマメなどのライザーは流心では待ちきれず、岩盤や流れに突き出した岩のキワへやってきて、ミドリが落ちてくるのを待つようになる。これが面白い。たとえその時ライズが見えなくても、ミドリがハッチする岩盤脇へフライをポトリとやればパシッと出てくるのだ。釣り上がり系ではあるけども、決してブラインドキャストじゃない。この季節独特の狙い撃ちだから楽しい。

 

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ミドリが渓畔の木枝に止まっていたり、飛びまわる姿を見かけたらチャンス到来。それから流れに面した岩盤などをよく見れば、ミドリのハッチしたシャックがいくつも張り付いているのが見られるはず。双眼鏡を使うと素早くチャンスを見つけられる。双眼鏡は、ライズを狙う者にとって、完全に釣り道具なのだ。

 

ミドリカワゲラの生態としては、午後にソワソワと移動、あたりかまわず飛び回るのはオス。メスをセカセカと探し回っているので、流れのあちこちに落ちる。オスはメスよりやや小型なのが特徴。メスは、オスよりやや大型で体長8~9㎜。夕方ごろから飛び出してきて、産卵条件の適した平瀬に何度も着水して卵塊を産み落とす。もちろんこの時も素晴らしいライズに出会えるチャンスである。

 

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フック・・・TMC206BL #16
アブドメン・・・シルクミシン糸50番 クリーム色
セグメント・・・モノカラーモノフィラメントミシン糸 #100スモーク色
ソラックス・・・ヘアーズイア スレッド
ウイング・・・ヴェインファイバー キナリ
スレッド・・・ベネッキ UFペールイエロー

※アブドメンは、セグメントを巻いてからUVレジンでコーティング
ソラックスやボディの一部は、COLOR MASTER水性顔料マーカー DAFFODIL YELLOWで着色

 

解答:前述のミドリ色のメイフライダンは、エラブタマダラカゲロウです! 

 

 

水生昆虫研究家・フライクリエイター 刈田敏三

 

 

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