RIVER TIP July 05

2020.07.03

bigeye

 

 

梅雨空はいつまで続くのかという感じですが、明ければいきなり盛夏ですね。源流が呼んでいるという感じですが、外に出づらい雨模様の日はフライの準備をするにもよい機会。今回は、キャスティングとプレゼンテーション性能に基づく、渓流用フライの仕分けの仕方をご説明しましょう。リクツっぽいのは性格のせいなので、勘弁してください……。

 

日本の渓流では、ティペット部にスラックをつくってドラグフリーで流すという方法論が欠かせないことはもうご承知の通りです。岩井渓一郎さん、里見栄正さんたちがオリジネーターとして確固とした足跡を残され、僕の同時代人としては嶋崎了さんや渋谷直人さんたちが活躍されています。「どれくらいの長さのドリフトを目指すのか?」というのは、釣り場の特徴、魚の気分、また使うタックルや美学によって大きく異なってくるわけですが、私は数十センチではなく1メートルくらいは自然に流せることを前提にタックルを組んでいます。

 

私の渓流での釣り方は「ぜったいにティペット部をターンオーバーさせないで残す」というネガティブ・カーブキャストを前提としたものです。これ以外にもティペット部にスラックを作る方法はいくらでもありますが、私はこれが一番歩留まりが良いので使っています。

 

ネガティブ・カーブキャストにおいて、フライの飛び方は大事です。ごくかんたんに言うと、空中を飛ぶフライにはよい感じの「ブレーキ」が掛かって欲しい。リーダーはフライを行かせようとするけれど、フライが抵抗して前にいかない感じがあれば、サイドキャスト気味で投げるだけで、ティペットがターンしきれないでリーダー全体がU字ないしV字に落ち、自然に流れるという段取り。セミオートマチック・システムです。1回ごとの差は小さくなり安定するので、快適なリズムで釣れる。で、いま梅雨時の家の中でやってもらうことのご提案は、フライの飛び方チェックです。あたりまえのことですが、フライが落ちるのは自分のまえ何メートルも先ですから、正直にいってどれくらいスラックが入っているのか、このフライはエアブレーキが利かないのか、よく掛かるのかわからない。そこで、自宅で検査をしましょう。この時には、大事なことがあります。

 

○ 現場で使える、空気抵抗が小さめのフライを「基準」として決めておく

 

です。私は、ドラッグがかかろうが何だろうがある程度のアピールを失わない、ディアヘア・カディス (DHC) が基準ですが、スタンダードのままではちとターンオーバーしやすいので、ウイングの下にはCDCを仕込んでブレーキをかけています(たとえば向かい風の時などには、CDCなしのほうがちょうど良かったりしますけど)。

 

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 フライボックスのストックの中から6本を選んでみた。中古もあるので不細工ですがご容赦!

 

テストの段取り……まずは自分の位置を決めます(私は床に正座します)。何にも結んでいないこのDHCを力一杯前に放り投げて、その到達距離を10とします。床に、そのまま置いておけばいいでしょう。次に、同じようなフックの、同じサイズの別のフライを、同じく力一杯に投げてみましょう。パラシュートなんかは「7」くらいの位置に落ちるかも知れません。コンパラスタイルに巻いたCDCダンなどは、ぜんぜん前に飛びたがらなくて、「5」くらいのところに落ちるかも知れません。オーバーサイズのハックルを巻いたスパイダーもそれくらいでしょうかね。

 

こうやって、自分の好きな巻き方をした各パターンの「飛びやすさ」をざっくりと理解しておけば、フックサイズやワイヤーの太さを少し変えた時、また風などの外的条件、ハッチする昆虫、流れのタイプなどによって、最適の「ターンしなさ加減」を作り出すことができるのです。ハックルを厚く巻くと、抵抗は増える。ウイングの量を増すと、抵抗は増える。ファインワイヤーのフックに変えると、質量も減るのでフライは飛びにくくなる。ポストがカーフテイルかエアロドライ・ウイングかでも違う。なにをどうすればフライの飛び方がどうなるか、だんだん分かってきます。そうすれば、プレゼンテーションの形もどんどん良くなって、結果魚が釣れるようになる……というわけ。私は最近、TMC112Yなどのファインワイヤーのフックに巻いた定番クイルボディ・パラシュートの「飛ばなさ加減」に、改めて惚れています(写真下のいちばん左)。このあたりの詳細はまたセミナーか何かで、解説したいと思っています!  では今日はこのへんで。

 

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 左側があんまり飛ばないフライ、右に行くに従ってよく飛ぶ。

右から2番目が基準のディアヘア・カディス (DHC) 

 

 

東 知憲

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