スコットのフレックス・レーティング

2020.04.29

もはや伝説ともなっている手法。初期のスコットが行っていたじつにユニークな、手間の掛かる品質管理法が「フレックス・レーティング」でした。製造したブランクに所定の負荷を掛けて曲げ、その数値を記録しておく作業です。昔のグラファイト・プリプレグは厚く、素材の各部でムラがありましたから、ブランクごとに硬さのばらつきが生まれました。それをなんとか克服し、出荷するロッドにすべて「スコット・フィーリング」を持たせるために創業者ハリー・ウィルソンとラリー・ケニーが考案した方法です。

 

HW LK

 

硬く仕上がったティップに柔らかく仕上がったバットを組み合わせると、自分たちが目指したアクションとはまったく違ったロッドが生まれてしまいます。基準よりも柔らかいティップに、硬いバットを組み合わせても同じです。つまり、スコット・フィーリングを維持するためには、柔らかいティップには柔らかいバット、硬いティップには硬いバットを組み合わせる必要があったのです。当然、同一モデル内で「硬めのロッド」「柔らかめのロッド」を生み出すことになってしまいますが、ほぼカスタムショップであった初期のスコットでは、むしろそれが有利に働きました。お客様の用途と好みに合わせて、ロッドの細かな選択肢を提供できたのです。

 

Scott_sig

 

もしお手元に、サンフランシスコ時代ないしバークレー時代の2ピースロッドがあれば、手書き文字を見てみてください。たとえばサンフランシスコ時代のこのロッドには#G959-11-4240と記されています。最初のG959 は、Gシリーズの9フィート半、9番指定のロッドを意味します。おそらくカリフォルニアのスティールヘッド用として作られたものですね。次の「11」こそ、フレックス・レーティングの数字。1ケタ目はオモリを付けた状態のティップが「1単位」ぶん、2ケタめは継いだ状態のロッドが「1単位」ぶん曲がったことを意味しています。仮にこれが「12」であれば、継いだ状態のロッドが「2単位」ぶん曲がったことになります。(この数字は、スコットが独自に開発して使っていたディフレクション・チャート上のもので、センチやインチ表記ではないことにご注意ください)。ちなみに、いちばん最後の4240は通しのシリアルです。

 

Tubes

 

ではなぜ、いまスコットはフレックス・レーティングとマッチング作業を止めてしまったのか? 答えは簡単、その必要がなくなったからです。時代が進むに連れて素材は薄くなり、ファイバーの均一性も増しましたので、ブランクのばらつきは最小化しました。1本1本硬さをチェックし、理想の組み合わせを求める労力と時間は、デザイン作業に回すことができますので、結果としてさらに高品質の、個体差のないロッドが生まれているのです。ロッドを曲げてチェックするのは、デザイン通りにブランクが上がっているかどうかの確認作業です。ちなみにシリアルナンバーは、現在も創業以来の通し番号として継続されています。

 

Flexing

 

社長ジミー・バーチが語る現在の方向性と最新モデルに関する情報は、現在発売中の『フライフィッシャー』誌に掲載されていますので、ぜひご一読ください。ハリーとラリーが目指した「釣り場で最高の性能を発揮する道具を作り出す」というこだわりは、いまも引き継がれていることをご理解いただけるでしょう。

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