B’s Fly Works Presents それって愛でしょ。— Quill Wing de Leon

2019.05.03

“全世界ものすご~く扱いやすいクイルウイング素材天下一決定戦最優秀賞結果発表の巻”  

 

 Mitsugu_port

 

「巻いて巻いて語って巻いて……

 

職業フライタイヤーという仕事柄、オフシーズンとなる冬のあいだフライタイイングデモや講習会に呼んでいただく機会が何度かある。

 

……バイスに挟まれたフックに、お集まりくださった熱心な皆さんの視線が集中しております。ボビンをにぎったワタクシの指先がクルクルうごいております。まさに、ワタクシの一挙一動を全員が注視。巻いているあいだ、そのフライについての解説や能書きをワタクシがアレコレとエラそうにしゃべりつづけるわけでございます……

 

そりゃーもう、こっぱずかしいデ。

 

ココロのなかはいつだって冷汗かきかき。なんだけど、そんなそぶりは露とも見せず、いつだって自信満々で余裕綽々のふりをしてせっせとフライを巻く。そして熱く語る。だってお仕事なんだもの。それになんてったって、けして安くはない会費を払ってまで集まってくださった、まことにありがたく愛しいマニアな皆さま。わざわざ足を運んでくださったからには、この時間を有意義に過ごしていただきたい。フライ歴ウン十年のベテランの方から、フライにハマって間もないビギナーさんまで、知識も経験も異なる方がたそれぞれに等しく愉しんでいただきたい。そのうえで、スキルアップやモチベーションの向上につながる有益な情報や学びをた~くさんお持ち帰りいただきたいとおもってる。だからいつも目一杯はりきる。フルスロットルでがんばる。アレも巻きたいコレも紹介したいソレも語りたいナニも言いたい。も~~っと巻いて語りたい!なんて、いつもてんぱりまくる。

そりゃーもう、デモの最中は常に脳内ぐるぐるフル回転、沸騰寸前ボコボコ。

 

し・か・も・そのようなデモや講習会の場となる会場は、たいがい照明に難あり。ちいさなライトひとつとか、そんなかんじ。会場は明るいけれど、手元のバイス周辺は薄暗い。そこに我が老眼も加味されて、視界は常にボヤ~ッとしている……巻いているフライの肝心の細かいところがハッキリ見えまへんがな困りますがな。というわけで、ボヤけているところは長年の勘を駆使して巻いて、なんとか乗りきる……ということがよくある。

 

このように、自宅のタイイングデスクでたった独り、気持ちをゆったり落ちつけてじっくり作業する日常のタイイングと、デモでのタイイングはもう気力体力そして気分もなにもかもまったくちがう。慣れない場所で、どちらかといえばあまりタイイングには向いていない環境で、しかも人様の視線を感じてココロをざわつかせながらフライを巻くのがデモでのタイイングなのでございます。

 

クイルウイングの壁を壊したい

 

そんなデモのときに、どこに行ってもかならずリクエストをいただくテクニックのひとつが、ウエットフライのクイルウイングの巻き止め方。「それじゃあこれからクイルウイングを巻き止めて、ウエットフライのシルバーマーチブラウンを巻いてみましょう」などと申し上げると、多くの方がグッと身を乗り出してここぞと喰いついてくださる。いわば、タイイングデモのハイライト。

 

皆さん、この作業がなかなかの難関のご様子。ウエットフライにすごく興味はあるけれど、コレがどうもうまくいかなくて挫折したり頓挫してしまったり、あるいはいかにも難易度が高そうで、なかなか挑戦する踏ん切りがつかない、などの切なるお悩みのお声が飛び交う。そのお気持ち、ヨークわかります。だって、かつての自分もそうだったもの。

 

ウエットフライのクイルウイングを美しく、かつ機能的に、そして確実に巻き止める。ほかのテクニックとは異なり、このクイルウイング装着作業でやっかいなのは、クイル素材を指先のなかに完全に挟んで行うところ。その過程の仔細ありのままを見ていただくことができない。だから余計に難しく感じてしまう。つまり「フライタイイングの壁」のひとつ。

 

だからこのテクニックこそ、いかにも簡単そうに巻いているようにお見せして事細かに解説したい。尻込みしておられた方が「あ、これならオレにも出来そう」なんておもっていただけると、ワタシとしてはしてやったりの大成功。だからこそ失敗の許されない場面でもある。センセーが何度もしくじったりして「うわ~、やっぱ難しいんだ」なんておもわれたくない。しかしデモの場所は、巻いているフライはよく見えないし気持ちは常に焦っているし、皆がジッと注目しているし……熱気ムンムン手のひらベタベタ……クイルウイングを巻き止めるに、これ以上はない劣悪な環境なのでございます。

 

救いのクイルウイング

 

そんな状況で、ウエットフライのクイルウイングをせっせと巻き止めること十数余年。

フックサイズ8番から12番くらいの常用サイズなウエットフライにつかえるクイルウイング素材のアレコレを、公私ともに数え切れないほど巻き倒してまいりました。たとえばダッククイルやターキークイル、それにヘンフェザントを筆頭に各種のキジのクイルなどなどなどなど。伝統の定番素材から超レアな珍羽根に至るまで、そりゃ~もういろ~んなクイル素材を実際にズッコンバッコン巻き倒して使い倒してきた自負がございます。だってそれって、趣味でもあるけどお仕事でもあるんだもの。もはやライフワーク。

そのうえで、ワタクシはいま文字を太にして言いたい。このメッセージをお伝えしたいためだけに、このような駄文を書き散らしております。

 

「コック・デ・レオンのセカンダリークイルがぶっちぎりでいっちばん扱いやすい」

 

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アンタが一等賞! ルースターでもヘンでもどちらでもおなじ。これほどファイバーにへんなクセがなくて素直で丈夫、そしてファイバーが割れにくく思ったように巻きやすい素材は、ちょっと他にないのではないか、とセンセーは言い切ってしまいそうです。でも、コック・デ・レオンのセカンダリークイルは、ウエットフライのクイルウイングとしては、ものすごく新しい素材だ。はじめて世に出ていまだほんの十数年。ゆうにウン百年の歴史を超える伝統の古典的素材で構成されているこの世界では、ほかにあまり例がない最新素材といってもいい。

 

タイイングデモのとき、このクイル素材のおかげでどれほど助かっていることか。だって、クイルウイングのファイバーを扱うには大敵となる手汗をかいた状態でファイバーを摘まみ、しかも手元が明瞭には見えない不利な悪環境にて、むしろ手元なんかほとんど見ないでベッラベラ解説しながら巻いたって、クイルウイング巻き止めの勘どころさえ外さなければ、いっつもそれらしくカッコ良いウイングのカタチになってくれるだもの。なんとありがたいクイル素材でありましょうか。不肖ワタクシのタイイングデモは、もはやこの素材なしには成立しないと言っても過言ではないかもしれません。

 

さらに、本当はここからが肝心なんだけど、そのように巻いたコック・デ・レオンのクイルウイングのウエットフライを実践投入するとどうなのよ?なんて、それを書き出すともうぶっちゃけキリがない。まさにエンドレス。いつかこの底なしの魅力満載の素材について事細かに、かつ自分なりにガッツリまとめたものをドドーンと一挙に世に出したいと、目下のところ鋭意製作中でございます。

 

が、ドジでノロマなナメクジ野郎のワタクシのやることでございます。そのような大作、いったいいつ完成することやら……。そしてその間にも、コック・デ・レオン素材に関する新しいアイディアや発見や課題が次から次へと泉のごとく湧きでてくる……もう収拾がつかない状態のまま早や数年。誰かオレのケツをバシッと叩いてくれー。ってゆーか、目の前にニンジンをぶら下げてもらって「ホレホレ~走れ走れ~」と誰かに操られたい心境です。

 

当社ベストセラー・ウエットフライ その1

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オレ様スタイルで巻いたシルバーマーチブラウンの私家版アレンジ。極細のシルバーティンセルにオパール・カラーのミラージュを挟んで捩じってボディに巻いている。そのため、銀色ボディに微細なデコボコができている。これが陽の光を受けると、まるで割れた鏡のように四方八方に輝きを拡散して激しく乱反射。これをスイングさせるとビッカビカに煌めくボディと、いかにも虫っぽいマダラ模様の茶褐色のウイングのナチュラルな存在感の組み合わせがなんともいえず釣れそう。と、自画自賛の実績度数高めなイッポン。

 

当社ベストセラー・ウエットフライ その2

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魅惑のスケチラ・バディ。極細のゴールド・ティンセルを二重撚りで捩じる際に、各種の獣毛ファーもパラパラッと薄く同時に撚り込んでボディを巻いている。なので、フワッと毛羽立ったファーの内側から金色のティンセルがほのかに透け見える。とってもエッチな体裁。このように薄く毛羽立たせたボディは水をはらんで流水の抵抗が増すので、ナチュラルに流すときにとくに有利。そしてアップストリームなウエットフライのアプローチの釣りでは、水切れがよく重いフライよりも明らかにアタリが大きく明確に出やすいようにおもう。コック・デ・レオンのクイルウイングは、どのようなスタイルのウエットフライに巻いてもピッタリしっくりサマになって調和してしまうところがまたええんですわ~。

 

備前 貢

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