B’s Fly Works Presents それって愛でしょ。— Hackle talk with you その1

2018.12.14

“ハックルの中心はブラックと叫ぶ”  

 

 Mitsugu_port

     「ファーネスを語る」編

 

 茶色系ハックルのファイバーのセンター部分、つまりストーク付近の芯のところに黒いセンターライン状の模様がはいっているハックル。とくに珍しいものではなく、茶色系のハックルを探しているとどこでもよく見かける。ただ、模様はそれぞれ同じではなく、ファイバーの先端付近も黒くなっていたり、はたまた不規則な斑点模様のようになっていたりと種類によってバリエイションさまざま。

 で、そのように微妙な縞模様に応じて……、

 センター付近の黒色の濃淡のちがいによってファーネスといったりグリーンウェルといったり。

 はたまたファイバー先端部分も黒いのはコッキィ・ボンデュと呼ばれたり。

 さらにセンター付近の黒が二本線になっていて、さらにファイバー先端も黒くなっている珍品はニーキャップなんて言われたり。

 などなどと、その呼び名は細かく分けられている。いちいち複雑。

 そして、ハックル中毒なうるさ方の皆さまにおかれましては、自慢のハックル・コレクションをズラリと机に並べて、その微かな模様のちがいを発見指摘しては、ああでもないこうでもないと終わりなきハックル談義に花を咲かせていらっしゃいます。このビミョーな色調のちょっとしたちがいが、ハックル・マニア心をたいへんくすぐるのです。そして、それもまたマニアックなハックルの愉しみとしては、おおいに健全なことでございましょう。

 

 で・す・が・そんなマニアックもとってもいいけれど、まずはがっつりマスを釣りたい、できればでっかいのが釣りたい、そんな釣欲最優先かつ実戦派なところで、釣るためのタイイングでこそハックルをナニしたい貴方……そんなこむずかしいことは考えなくてヨロシ。

 茶色か茶色っぽい色合いでハックルの芯のところが黒くなっているハックルは、コックハックルでもヘンハックルでも種類を問わず、さらに微妙な色調や模様のちがいも問わず、どれでも「メチャ釣れる」もしくは「メチャ効くいろんなフライにつかえる」とっても有効につかえる美味しいハックルだ、と憶えておくだけで充分。

 

 というわけで、ここではこのような色調と模様のハックルの呼び名を以下「ファーネス」で統一してしまいたいとおもいます。なぜならホワイティング社のハックルのカラー・ネームを見ていると、ひとからげに大概そのようになっているから。賢明なご判断だとおもいます。

 そしてさらに付け加えれば、このテのハックルは実際にとても効くだけでなく、この黒いセンターラインの模様があるだけで、ハックリングしてみればアラ不思議。もうなんとも巻き心が踊るといおうかなんといおうか、巻けば巻くほどにイメージと妄想がどんどん膨らんで、フライタイイングがさらに濃厚に、そして深く愉しめることうけあい。オフシーズンのいま、タイイング机にむかって冬の夜長を熱くときめきながら過ごすには、まさにうってつけ。タイイング気分おおいにそそられるハックルのひとつというわけです。

 

ファーネス四天王

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左から順に、

1. 濃厚な色合いで細く硬いファイバーで、先端も黒くなっているものが多いのが特徴のヒーバート・ファーネス。ハックルを薄くハックリングした繊細な暗色系パラシュート系ドライフライにバツグンにグッド。

2. 黒いセンターラインが細く、かつ明瞭でファイバーが太め、全体の色調が明るい暖色系になっているヒストリック・ファーネス。このなかではファイバーがもっとも透明感に富んでいるところも大きな特徴。厚めにハックリングした高浮力目的のパラシュートやウルフ系のドライフライに最高につかいやすい。

3. 黒いセンターラインが幅広で、ウェブつまり繊毛が濃いが、ファイバー先端の茶色部分が透明感があるヒーバート・ファーネスのヘン。ヘンハックルなので、もちろんソフトハックルもしくはクイルウイング搭載ウエットフライのスロートハックル、あるいはウーリーバッガーなどのニンフにも常用するけれど、じつはドライフライにもすごくおススメ。とくに中型サイズから極小サイズのアントやビートルのハックルとして最適。そして意外にも各種フロータントとの相性も良好。とくに顆粒状のシェイク系フロータントやスプレー式のフロータントと併用すると、ウェブの部分にフロータントが付着するので、ノーマルなコックハックルよりも軽々浮かせることが容易になる。

4. ハックル自体は短いけれど、ファイバーが最も長く、かつソフトな質感で黒と茶色のコントラストが明瞭な4B。ファイバーの長さと質感を活かして、ハルゼミや大型ビートルを暗示したマシュマロ系巨大ドライフライや、大型サイズのウルフ・スタイルなどのテレストリアル系には、いまや欠かせないハックル素材。コック・デ・レオンのサドルハックルなどと組み合わせればさらに真価を発揮。ハックル・ファイバーが震えるような振動アクションを演出できる。そして、黒と茶色のコントラストがまた、このテの大型テレストリアルの「水面でもがく脚」の質感と色調を誇張表現しているように見える。

 

ここではいずれもネックハックルを取り上げた。ホワイティング社を代表するファーネス軍団4種。こうして細かく見れば独特の特徴がある。けれど、どれも同じようにつかえて、かつそんな特徴を活かしてもつかえる。

 

ヒーバート・コックネックのファーネスにドッキドキ

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まずは典型的な色調のヒーバート・ファーネスのコックハックルをアップにして仔細を見てみよう。透明感のある濃い茶色のファイバーの中央に、マットな質感の真っ黒なラインが、ハックルの根元付近から先端にむけてテーパー状に走っている。そして、そんなファイバー中央部の黒いラインは微かにウェヴ状になっているので、そのぶんファイバーが太くなっている。また、色合いも不透明なので黒色がより浮き出て見える。なので、透明感に富んだ茶色のファイバーとの色のコントラストがとても鮮明。

と、そのようなハックルをハックリングして、渓流用のドライフライとしてはお馴染みの定番中の定番的パラシュート・スタイルを巻いてみた。なんとなくマダラカゲロウ風なクイルボディのパラダンから、クリンクハマー・スタイルなフローティング・イマージャー、それにスペントウイング系、さらにアントやスパイダーなどのテレストリアルまで、各種アレコレを巻いてみると……。

 

パラシュート作例各種

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ハックル基部、つまりソラックスにあたる部分にちいさな黒いワンポイント的アクセントが自然に出来る。そしてそこからナチュラル・カラーなハックルファイバーがスラッと伸びている。これがファーネス最大の特徴でもあり最高の旨味になる。

普通にハックリングしただけで、いかにも虫っぽい質感と、活き活きとした生命感を醸し出す、フライに虫の命を吹き込む源になる。

 

いつものパラシュート・フローティングニンフ

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カーヴドシャンクなドライフライ・フックに巻いた、これまたお馴染みのパラシュート系フローティングニンフの作例。マッチ・ザ・ハッチ的にとくにどのカゲロウを模したというわけではない。各種のカゲロウなどがバンバカ羽化しているハイシーズンな季節に、渓流を軽快に釣り上りながらポイントを探っていくアトラクター・スタイルなフローティングニンフとして、高浮力を得るために厚めグルグル巻きでハックリングしている。ちなみにハックルはヒストリック・ファーネスのネック。そんな厚巻きハックルの基部、つまり根元付近の黒い部分にこそご注目を……。

明るい茶色のハックルの中央部分で、真っ黒なファイバーがパラッパラに、とってもファジーに、フワッとひろがっているではありませんか。

このかんじ、この印象、この色調、水生昆虫にも興味津々な方ならば、今まさに羽化しようとしているカゲロウの状態のなにかを連想させませんか?

羽化するために水面直下に浮かびあがってきたイマージャーや成熟ニンフの黒く変化したウイングケースが割れて、その中からニュルンッとダンが出てきているような……そう、羽化寸前のカゲロウに特徴的なこの状態を、ハックルをクルクルッと巻くだけで勝手に、そして自然に、しかも絶妙な印象で表現できてしまう……これぞハックルの魔法。

 

というわけで “ハックルの中心はブラックと叫ぶ” シリーズ第2弾、「佳境」編へとつづきま~す。

 

 

備前 貢

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