コンマ5の冒険 — それって愛でしょ?

2018.10.11

Mitsugu_port

 

細い糸で大物を釣りあげるのがエライなんて、まったくおもってない。それよりも、スレッスレの百戦錬磨を、手練のワザでいかに騙して太い糸で食わせるか…これだよな、とおもってる。

なんだけど、それじゃあどうにもならないときもある。

 

鏡のような止水の水面で、悠々とクルージングしながら羽アリを吸い込んでいるゴッツイやつ。7Xまで落とせれば、なんとかイケるかもしれない。しかし、よしんば掛けたとしても目の前には倒木が。あそこに突進されたら……。川底の岩盤の切れ目のところに定位している極太の美熟女が、流れてくる流下昆虫を水中で盛んに食っている。流水の抵抗を軽減できる5Xなら、スムーズにニンフを沈めてサイトで狙える。しかし、するどい岩盤の角がキバを剥いている。あそこに擦られたら……。

できることなら、太いティペットで狙いたい。とはいえ、まずはフライを食わせたい。まずはフライをうまく流したい。勝負はそこから。ぜひとも手中に収めたい大物を目の前にして、アレかコレか、ああ悩ましい。

 

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「4.5Xだの6.5Xだの、そんなハンパな太さのティぺットなんかつかわねえよ、どうせベストのお荷物じゃん」なんておもっていた時期がワタシにはありました。

が!ヤツとの闘いのためにはぜひとも太い糸で釣りたい。けれど、この状況ではワンランク細いのを選択するしかないという、なんとも切なく、そして心細い場面。こんなとき、このコンマ5の微妙な太さのちがいにどれだけ助けられたことでしょう。ココ一番のところで、おもっているよりずっとムリが効くとか、コンマ5だけ細いがゆえにかなり融通が効くなどなど、そんな「コンマ5すげーじゃん」体験を重ねてまいりますと、この微妙な太さがじつに頼もしい。

 

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そしてなにより「ここで会ったが百年目、イザ大勝負!」めったにないチャンスに遭遇しての緊張と興奮の場面で、絶大な安心感や信頼感をもって勝負に挑めるというのは、闘いに勝利するためにはとても重要。そんな、メンタルなところにもコンマ5がヨ~ク効いている気がするのです。ティペットの限界ギリギリ、丁丁発止の大物とのファイトではあるけれど、コンマ5をつかっていることで気持ちのどこかにすこし余裕がある……だからこそ冒険できるというわけです。

あ、手のひら返しはワタシの得意技です。

 

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追伸:2018年10月発売の季刊フライフイッシャー誌秋号にて、止水深場のユスリカの釣りをテーマにして、大物アメマスを執拗に追う抱腹絶倒?の長編ドキュメントを掲載させていただきます。6.5Xティペットの真価が問われまくった釣りの日々と、そこでつかった必殺ニンフたち。御一読いただければ、爆笑とともにワタシのこのティペットへの熱い想い入れを感じていただけるかとおもいます。

 

備前 貢

B’s Fly Works

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